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ハマータウンの野郎ども 学校への反抗・労働への順応

289-4(1294)   ハマータウンの野郎ども 学校への反抗・労働への順応
ポール・ウィリス、ちくま学芸文庫、1996
Learning to Labour How Working Class kids get working class jobs
1977  

イギリスの中等学校において、落ちこぼれ、学歴を必要としない職業についていく子どもたちが、以下に学校の中で「悪るさ」をするか、そして、親たちの労働文化も同様に、以下にさぼるかであるために、子どもの「悪るさ」が容認され、学校文化への順応を決して強いることがないことを、生徒自身に対する聞き取り調査、教員への聞き取り調査などから明らかにした本。

学業に背を向けた生徒たちをlad 野郎 と、彼らが呼んでいる。また、学業にいそしむ生徒は「耳穴ちゃん」だ。

授業妨害、さぼり、飲酒、窃盗、破壊、などが、彼らの「罪」だ。
教員は「ご子息の行為」について、親からの協力が得られないと嘆く。

親たちの職場文化も、肉体労働中心であるがゆえに、男性的で、管理職に対抗し、結束する「男気」の文化だ。

労働が肉体労働、単純労働であるときの、教科中心主義カリキュラムへの総動員は無意味だ。教科中心主義カリキュラムは基本的に選抜的であるからだ。中等教育は高等教育への序章にしかすぎず、高等教育は専門性の高い「CALP」認知的学問的言語能力を求めるからだ。

この本が明らかにしているのは、そのような学校文化が、労働者階級の子どもたちを「排除」するということだ。そして、学業達成を通してのみつける職業が、その親たちの労働を差別していることを示しているのだ。

事実の描写として、とてもおもしろく読める本だ。子どもの「反学校」の態度の背景にあるものは何か、考えさせられる。いかんせん、時代状況が違いすぎるので、「イデオロギー」についての分析などの分析の視点はあまり役に立たない。「制度としての学校」
by eric-blog | 2009-04-08 19:30 | ■週5プロジェクト09
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