環境的公正を求めて

50-5(211) 環境的公正を求めて
戸田 清
新曜社、1994(2004年5刷)

「広い宇宙に,,,」同様、分厚い本である。戸田さんには、彼が日消連に勤務していた頃に、動物の権利(ピーター・シンガーの同名の本の訳者でもある)がらみでいろいろ教えていただいたことがある。博識である。そして、日本にはない視点の持ち主である。
「原理原則」で物事を考える人である。何よりも公正さを尊ぶ人である。そのお方の「修士論文」だそうである。一つ下。つまり、37才の時の論文。すごい。一橋大学おそるべし。とまれ、中味の濃い本です。


5
「近代産業社会」
1.進歩史観・膨張志向と刹那主義
2.循環の分断
3.画一性
4.諸個人の原子化
5.ヒエラルキーと中央集権
から
「持続可能な社会」
1.持続可能性
2.循環
3.多様性
4.社会関係の豊富化
5.自治と水平的ネットワーク
への転換のキーワード=「環境的公正」
[つまり、わたしが言う「環境と人権」だね]

環境破壊の構造(原因、影響、対策)とエリート主義[図1]12
発生の段階で、経済エリート、政治エリート、軍事エリート、文化エリートの責任は大きい。
その影響、環境破壊による被害を被るのは「社会的弱者」「生物的弱者」。受益と受苦の階層性。
対策においても非エリートにしわよせしながら、解決がはかられていく。

日本の環境政策の問題点

「生活様式」ばかりが強調され「生産様式」の視点がない。26
「環境費用」や「社会的費用」を社会全体に転嫁することにより生み出された「安さ」による企業の利潤。27
日本政府の予算の6割が原子力。しかも、政府の地球環境保全予算の50%以上が原子力の開発利用の推進。28
地球環境問題における日本社会のコンセンサスの状況[表7]30
これはつまり、「総論賛成、各論進展なし」ということかな。

ライフチャンス・リスクの不平等

第5章 ライフチャンスの不平等

核被害の三重構造[表33]
1.核攻撃における無差別被害、しかし、被害後の救済の不平等
2.原発被爆は、労働者、ウラン坑夫のような社会的弱者に集積
3.子どものような生物的弱者

環境的公正の実現とは
北の国内、南の国内、南北関係の3つの次元で達成されなければならない。249

「真の文明は山を荒さず、川を荒さず、村を破らず、人を殺さざるべし」(田中正造1912年)275

日本は1トン輸出するために8.7トン輸入している。(1987年)280

うーーん、でも「求めて」という割には、「不平等だ」という指摘や事例紹介のボリュームが多いなー。
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by eric-blog | 2004-08-04 18:02 | ■週5プロジェクト04 | Comments(0)
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