281-6(1259)パパ、ママどうして死んでしまったの スウェーデンの子どもたち31人の手記
スサン・シュークヴィスト、論創社、2008
Still here with me, 2005
ただひとつよかったことは、同じようにママを亡くした子どもをなぐさめてあげられること。
ユーリア 13歳 p.49
日本語のタイトルよりも、英語のタイトルの方が、内容にぴったりしている。
「なぜ?」という問いではなく、「どのように」「心が」生き延びて来たかが綴られているからだ。
日本では単身親のもとで育っている子どもが、経済的な困難で大学進学をあきらめるというニュースが流れている。
スウェーデンに生きる彼らの生活が、親が亡くなった後も同じだとは言えないが、物語に「経済的な苦労話」はない。そして、たぶん、日本のわたしたちが思うストーリーは、ちょっと古ぼけた「親を亡くして、苦労したんですねぇ」というフレーズなのに違いない。
「とてもいい本だ」と言いながら、出版社が見つからなかったと、訳者であるビヤネール・多美子さんは言う。
日本語のタイトルから連想する喪失感は、必ずしも精神的なものだけではなさそうだ。そんな対比が、以下の本を読んだ時のこととも合わせて、思えてしまう。いまだに日本社会で「大変なこと」とは、経済的な喪失なのだ。こんなことも解決できないのか、この社会は。
271-1(1169)高齢者の孤独 25人の高齢者が孤独について語る
ビアギト・マスン&ピーダ・オーレスン編、新評論、2008
同情心のためではなく、共感のための本である。