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抵抗者たち

231-2(1124) 証言・戦後史の現場から
米田綱路編、講談社、2004

刹那的に煽情し、目新しいものを求めて戦場を移し替えていくだけのジャーナリズムから身を引いて、抵抗の続く現場で生きる人に取材したインタビュー集。
北谷の知花さん、国労の藤保さん、大潟村の坂本進一郎さん、人形峠ウラン残土訴訟の榎本さん、花岡事件を取材した野添さん、三里塚の島さん、アイヌ差別を問う北原さん、在日「ほるもん文化」編集の高さん、「民主読売」を求めて戦った増山さん。

テロとの戦い、グローバリゼーションの推進などに邁進する「国家」主義に「抵抗」する人々の物語だ。抵抗の物語は人なのに、推進側は「仕事」であったり、二三年だけの担当だったり、顔すら見えないし、意志もない。不思議なものだ。
それぞれに気になるポイントはあるのだが、いくつか紹介しておく。
金子みすずの「みんな違ってみんないい」を唱和する「日本的なるもの」を高さんは言う。

アイヌ民族が日本人とは違うという区別ははっきりさせながら、差別のない社会を求めるのだと北原さんは言う。彼女の息子の世代は改めて、言葉と物語とを獲得している。
日本的なるもの。
同時代として見て来たことと引き比べると、1969年生まれの著者が出会う「過去」としての抵抗は、すっきりしてわかりやすく、かっこよくいい。それは「引き受け続けて来た」中で、研ぎあげられているからだ。

民主主義はぐちゃぐちゃしている。ぐちゃぐちゃにしていくことへのトレランスをこそ自分の内に育てる必要があるのだが、書き物にその力はあるのか?な?
by eric-blog | 2008-05-24 15:04 | ■週5プロジェクト08
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