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We 2008.4/5月号

225-4(1102)We 2008.4/5月号

常に、刺激的な本である。今回の特集はホームレスの自立支援をしてきたグループもやい設立者、湯浅さん。図書館で検索すると、8冊もの著書が2006年から2007年にかけて並んでいる。文字の人であり、論理の人であり、実践の人である。確信的なところで、「貧困」を格差社会の次の議論に持ってこようと、仕掛けているところもあり、日本でこれまで「貧困」が格差だとか、ワーキングプアだとかの言葉の後ろにおいやられていたのを、「スタートラインに立たせる」。貧困状態にある人の権利を守る行動を作り出していく。

もやいの活動から派生した「焙煎日和」というドキュメンタリーも見てみたいなあ。
おかげで、「君が代不起立」とか、ドキュメンタリーのいまを、サーチしてしまいました。

「民主主義で決めたことだから、国旗国歌を守るのは当たり前。いったんみんなで決めたことなんだから、いやでも従う。面従腹背何が悪い。」なんてことをコメントしているキャスターがあり、女子アナが「そうですよね。わたしも社長を批判していたら、誰がお前に給料だしてんだと言われて。いやでも、やらなきゃいけないことありますよね。うんうん。」と、公立学校の教員は甘いの、守られているだのの論調にやたら同調しているネットビデオがありました。

これほど、民主主義を愚弄した文脈で民主主義が使われるのもすごいなと思いました。運動をするということの正当性を含まない民主主義なんて、多数決主義だけでしかないじゃないか。

そんな異議申し立て不可能状況を自らの論説で作り出し、自らの首を絞めながら、それでも自分たちは「大丈夫な側にいる」と思っていられるのが、男性中心社会のトリックだよなあ。そこに、「男性並みに、女性らしく」のハイブリッディティを自覚しないまま身をおいている女性も危うい。

◎印のものは図書館で予約を入れたものです。

◎貧困襲来 湯浅誠
グループホームの手引き、やっぱりわが家で暮らしたい、夏目幸子
◎ルポ解雇、子会社は叫ぶ、島本慈子
ミボージン日記、竹信三恵子
◎ジェイン・オースティンの読書会、映画
◎インドの女性たちの肖像、鳥居千代香
マザー・ミレット、永田美喜子

ちょうど借りていた『良心の自由と子どもたち』(西原博史、岩波新書、2006)が、やっとイデオロギー対立としての国旗国歌の問題と思想信条の自由の問題、そして子どもたち一人一人には「選択する力」の学習が保障されるべきという問題の整理をしてくれるに至っている。
「冷戦構造の終結とともに日本社会も、一元的なイデオロギーの選択によってすべての問題が解決するといった幻想から解放された。・・・政治的・道徳的な原理に対してイデオロギー的な対立が表面にある場面では、「正しい」ことを子どもに伝達しようとするエネルギーが対立の双方を衝き動かしており、ただその「正しい」ことの内容が食い違っているに過ぎなかった。・・・
それに対して今、本当に頼れるものは・・・最終的には自分なりの判断でしかない。」55
しかし、現実は、個別の意思表明を、依然として、旧来型の政治的対立の図式に持ち込む「力」が働いており、問題を政治化している。政治化しているのは、もちろん、権力の側である。不起立という行為に対し、停職六ヶ月などの処分を振りかざすことによって、対立の図式に逆戻りさせられる。

国旗国歌については、日の丸君が代がそれと定められる経緯にも、日の丸君が代の歴史的背景にも、さまざまな「違和感」が提起され、自分の信条が問われる問題であることは疑い得ない。なぜ、その問題提起を受け止めることが、いまの日本でできないのか、なぜ「無議論性」の報道姿勢にのみ終止するのか、理解できないんだよねぇ。こんなに成熟している社会であるのにね。
by eric-blog | 2008-04-10 09:50 | ■週5プロジェクト08
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