212-2(1025)近代家族の成立と終焉
上野千鶴子、岩波書店、1994 家族は危機の担保にはならない。 アルツハイマー離婚 リストラ離婚 病気事故離婚 障害児離婚 介護離婚 わが親身族の一部は、「親の将来」を巡って、親子の縁を切る切らないの関係になっている。まだ起こっても居ない「介護」や「面倒」をめぐって、誇大妄想に走っているのは「伝統的な形態」と「非伝統的な意識」が混在しているために、「伝統的な形態」に引きずられないための過剰防衛なんだろうなあ。 でも、その根底にあるのは、世代間での話し合いの不可能性。いわゆる「日本型コンフリクト」ってやつ。ここでは「下位」の者ががまんする、折れる、抑圧するというパターンではなく、「下位」のものが話し合いの席につかないという「対立の扱い方」のパターンになっているんだけど。加えて、親身族のあいだでの「なあなあ」の関係。伝統的形態と非伝統的意識と言うが、話し合っていない。合意していない。しかも、意識の微弱。だから、形態に意識がひきづられても、立て直せない。 専業主婦してたらよけいだよなあ。専業主婦しながら、非伝統的意識なんてもてるのか? ということで、わが親身族の専業主婦二世代二家族が、同じご町内で、しずかなバトルを繰り広げながら、生息しとります。むりだっちゅうの。専業主婦であるかぎり、非伝統的意識によって自立することなど。現行の専業主婦優遇配偶者控除や介護システムなんて、全部「家族主義」に決まってんじゃん。 そこんとか、誰かはっきり言ってやれよ! 長男として優遇されて育てられた人の連れ合いが専業主婦で、「世代の価値観が違うから」、長男の親の事故対応は、「東京のおねえさん」がやるべきだと考える人である場合、「東京のおねえさん」であるわたしは、まず「長男である弟」を親のご町内から追放するね。 その論理が、その専業主婦のおつれあいが「長男」として優遇されていなかったのなら、わかる。専業主婦でもね。それはカップルの選択だから。主婦という立場も、賃金労働至上主義、マルクス経済学的価値観がなければ、別にどうということもない。人間それぞれ働いているのだ。 長男にしてみれば、迷惑な「優遇措置」であったのだろうけれど。いまさら、そんなこと知らなかった、「長男」だなんて知らなかった、「姉妹弟の中でも優遇されてきただなんて知らなかった」ふりをする専業主婦さんも、ありかな。世代の価値観だから? うんにゃ。「社会的弱者」である女性だからね、なんといっても。 さて、この本は上野さんの独自理論の展開というよりは、まとめ。ひとつは青木やよひさんなどの近代化が女性の抑圧につながったというもの。 「近代こそは女性を生産労働から排除し、性的自由を奪い「家」制度のもとに妻=母として幽閉したという。「家」制度が「封建遺制」どころか近代日本国家の発明品であることが論証されて以来、女性が闘うべき敵は前近代から近代へとシフトした。」131 こんなあたりに、昨今の江戸ブームやレトロにどんどん流れていく風潮がだだもれ、無検討に、エコられる元凶もあるかもなあ。近代の見直しをすっとばして前近代礼賛、モデルの探索にいくのはおかしくないか? 「専業主婦が家事労働を高水準化、熟練化する」「偽装労働」178 偽装労働ということばは梅棹忠夫さんかららしい。 労働という観点から言えば、そうだろうけれど、梅棹さんがやっているようなお仕事は労働なのだろうか。それともそれは偽装労働?なぜ家事労働には「偽装」と言われ、大学の先生が非効率に、行っているものは労働とすら呼ばれないのか? なぜ「労働」していない彼らが「労働」を評論するのか????? 「文明史」的に家族や家をみていた梅棹氏に対して、著者は、「予見の射程の長さ」に感嘆するのだが、165 評論家こそが最たる偽装労働者なのではないかと、思う。労働という言葉で主婦を語ろうとすることが、マルクス系フェミニズムと類されるゆえんなのだろうけれど。 もとい、本の内容に戻って、つぎに、高度成長を支えたのも、母であり、家族であった、という章があり、夫婦別姓の落とし穴がある。 女性を生家から切り離し、家父長制的な家族制度を完成させるのが、夫婦同姓である、と。その違いをわかち続けるのは嫡出子、非嫡出子差別なのだ、と。254 これ、北区図書館のリサイクル本でゲットしたので、手元において、リファレンスにできる。いやあ、何冊読んでも、尽きないね。100歳までこの週5プロジェクトを続けたら、一万冊を達成できることがわかった。そうなったらすごいね。同じ本ばかり紹介しないように、ぼけないようにしないとね。ポリポリ。本当に、「紹介したい」と思う本ばかりに出合い続けられたら、すごい(*^ ^*)
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| 2008-01-09 11:15
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