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ビッグイシュー 突破する人びと 社会的企業としての挑戦

203-2(982)ビッグイシュー 突破する人びと 社会的企業としての挑戦
稗田和博、大月書店、2007

ホームレス支援のために始まった路上雑誌販売業。1993年にロンドンで始まり、スコットランドなどに広がり、そして2001年、現在のビッグイシュー日本版の副編集長である水越が「出会った」。折りしもNPOシチズンワークスを設立したばかり。そこで何をするのか。

一読して気づくのは「社会問題」「若者」「エッジ」「世界」「提案」とか、わたしもアクティビティで使ったことがある「販売員のためのガイドライン」などの方針の共有の仕方だ。規範的な方向性の言語化が、「ぶれない」編集方針にもつながっていく。それは迷わない、とか、ぶつからないということではない。

編集室を訪れたものが、佐野と水越のやりあいをした後もけろっとしている姿を見る。

現在3万部ほどをうりあげているという。それを5万部ほどにすることができれば、経営も安定すると。

働き甲斐を求めてビッグイシューに来るのは、ホームレスだけではない。若者たちもだ。読者の64%が女性、そしてその多くは20代。社会の方向性として、「関わる」こと、「人間的」に関わることを、是としていること。そんな気持ちがかきたてられる、伝染していく路上販売のスタイルができている。

ホームレスのほとんどは月の半分くらいは宿舎などに滞在したり、仕事先の寮にいたりする。完全なホームレスは逆に少ない。日本全国で2万人以上すいる彼ら。200人ほどのビッグイシュー販売員だけでは、充分とは言いがたい。「突破する」アイデアが求められるのだろう。

と、考えていくと、雑誌の路上販売というのは、よく考えられたものだということに気づく。

考案者はボディショップの創始者と頑固者の詩人。セルフヘルプの理念と理念をことばにして人を動かす力。そして、事業性の着目。

突破することはできる。しかし、求めなければその道は見えない、ということか。
by eric-blog | 2007-10-31 06:59 | ■週5プロジェクト07
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