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人は脳なり

173-6(832)人は脳なり大島清致知出版社2001年文京区図書館
[2002年まとめ]
第3章 脳はこうして育てる
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国連「育児幸せ協会」平成12年に、子どもの脳のもっとも感受性が高いのは生後33カ月であると発表。可塑性はゼロ歳から3歳前後にかけてどんどんと高まって最高に達し、それから下り坂に入るのです。
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二十歳をすぎても可塑性がゼロになるわけではありませんから、刺激を与えれば神経細胞の回路はつくられます。だが、可塑性の高い乳幼児期から9歳ごろまでに比べると、シナプスの形成は本当に難しくなる。時間がかかるようになる。


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人間の赤ちゃんの脳の重さは生後1年間で二倍になります。そして、その後も発達して7-8歳で大人の脳の重さの90パーセントに達し、ほぼ20歳前後で完成する。脳の神経細胞から神経繊維が伸びてドッキングするシナプスを形成するために重要な可塑性は生後33カ月でピークに達し、その後は下り坂に入って10歳前後で下り坂を下り、あとは腹ばいになります。
このように見てくると、大ざっぱに言って、生まれたときから9歳までぐらいを人間の脳が発達する一つの山ととらえることができます。この期間に脳を十分に発達させることが、人間形成にとって重要になります。
脳を十分に発達させるためのポイントは、バランスの取れた刺激です。刺激がシナプスをどんどん形成して脳の神経細胞の神経回路をつくっていくのです。
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身体的刺激全体を100
とすると、手から25%、足から25%、顎から50%の割合で脳にインプットされると考えればいいでしょう。
触覚、視覚、聴覚、味覚、嗅覚という5つの感覚を通して脊髄に入る刺激もある。五感の中では視覚がもっとも比重が大きい。80%は視覚からのものだと言えます。
栄養と刺激

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文化とは共感覚である
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この五感が単独で働くのではなく、視覚と同時に嗅覚が働き、それに味覚も伴ってくるといった働き方をする。これを共感覚と言います。複数の感覚がさまざまな組み合わせで多様な働きをする。そういう感覚のセットをいくつもつくっておくことが重要なのです。
そのためにも刺激です。多様な刺激を与えることによって多様な脳の神経回路ができ、多様な感覚のセットができる。それが働く。豊かな感性と言うでしょう。
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多彩な共感覚を備え、それを働かせることができるのは人間だけに可能なことです。

この共感覚が感情を生み、意思の土台になります。それが文化になります。

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人間は言葉によってのみ人間である
刺激によって脳の神経回路を形成する。これは言ってみれば、脳のハードウェアです。
しかし、ハードウェアがどんなに優秀でもソフトウェアがインストールされなければ、ハードウェアは動きません。前頭葉がソフトウェアだと考えてください。ソフトウェアの大きさは人間の場合、脳全体の33%です。
ソフトウェアは言葉を学習することによってのみ、前頭葉に獲得されるのです。
「人間は言葉によってのみ人間である」
そう言ったのはドイツの言語学者カール・フンボルトです。
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脳の神経細胞の可塑性が高く、神経回路をどんどんつくっていく子どもは、パターン認識に非常にすぐれているのです。ものの形をパッとつかむ力、ものの形を一瞬に見分ける力です。このパターン認識能力は人間の一生で幼児期が最高なのです。

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幼児期には大いに遊ぶこと。子どもにとって遊ぶこと以上に豊富な体験の場はありません。

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ソフトウェアの5つの働き

考える
計画する=順序立てる
判断する=それを実行するかどうかを判断する
創造する=新しいものを創る

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働きの5つ目が「恋」
恋する=恋ができるのは人間だけ。異性にひかれるのは確かに本能。だが、脳のソフトウェアが、その本能をコントロールする。自分が愛着できる好ましい相手を選びだしたら、人間は即性交とはなりません。精神的に結びつき、愛を共感しようとします。高揚した精神が文化につながる。ソフトウェアで恋する人間は、恋愛に文化につながる要素が必ずあるということです。

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ローシーが立ち上がって遠いまなざしになったとき、人間の精神が植え付けられたのです。
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二つの足で土を踏みしめて遠いまなざしになる。そのときの感覚こそ、精神の芽生えになります。
by eric-blog | 2007-03-15 17:46 | ■週5プロジェクト06
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