167-1(791) 気流の鳴る音 交響するコミューン
真木悠介、ちくま学術文庫、2003 原著1977、それぞれの初出は1975-6年 見田宗介さんの筆名による本。1937年生まれ。真木の名前で出す時は、現代社会を越える視点を出したいとき。出したいものを出したいとき、なのだそうだ。 http://www.kiryuusha.com/makiwiki/wiki.cgi?%bf%bf%cc%da%cd%aa%b2%f0%a4%c8%b8%ab%c5%c4%bd%a1%b2%f0 1973年から76年にかけて中南米に旅したときに受けた印象から「近代のあとの時代を構想し、切り開くための比較社会学」を構想しつつ、まずはカスタネダ作品の読み解きから取り組んだもの。 カルロス・カスタネダの四部作そのものを読んでいないので、この本を紹介するのは隔靴掻痒的なのだが、わたしがこの本を読んで思ったのは、著者が「近代を越える」ことを夢想していたとき、わたしはまだ近代に追い付こうとしていたのではなかったか、ということである。あるいは、わたしの同世代は、ということだが。 公害反対運動、安全な食の消費者運動、玄米菜食、民衆演劇、など、近代を超えるものはあった。しかし、あのころ、同時代的に見田を読み、真木を読んでいても、同じ問題意識を共有していたとは到底言えない。 そして、また、著者自身も、賃仕事として、依頼原稿を、東大教授の見田宗介として書く時、現代社会の分析と言いながら、近代を越える努力は、真木ほどには、していなかったのではないか。 いまの社会に居場所を見い出そうとする「わたし」と、課題が見えて、変革を目指そうとする「わたし」が、真木悠介と見田宗介として拮抗する。 その拮抗関係は老若の世代間にも、東大vsその他の大学というランクの間にも、相対的に安定な立ち場vsニートの間にも、男制性vs女制性の間にも、存在するように思う。 「世界」への内在と「世界」からの超越という二つの軸を、自ら明確に実験していた著者が、近代を越える知恵として探るのがインディオの老人からカスタネダに対するレッスンだ。 世界を止める 目で見てわかることを止める 合理的説明、理性にがんじがらめになることを止める 人間が知者となる途上にある四つの自然の敵がある。恐怖、明晰、力、老い。094 無知に耽溺するものは、闇をゆく。しかし、明知に自足するものは、いっそう深き闇をゆく。095 人間主義ヒューマニズムは、人間主義を超える感覚によってはじめて支えられる。054 人間主義も、人間主義を超えるものも、すべてわたしたちの中にある。それをどのようにdevelop発展開発成長させていくかが鍵だ。 しかし、本当に「教養のある」educatedな人間になるために必須なのが、w型経験学習の蓄積だ。w型経験学習の連続には時間がかかる。w型というのは、KJ法の川喜田二郎さんが、現実→分析→理論化→実験・実証→検証と、現場フィールドと書斎スタディの往復運動を示して言っているKJ法の方法論だ。 真木と見田の融合を目指すことは誰しも難しい。しかし、わたしが思うのは、w型経験学習の年数の多寡が多様に、そして重層的に交わる社会を、その統合の答とすべきなのではないかということだ。 人間が知者となるうえでのバリヤーとしての「老い」ではなく、人間が知者となるために必要な知恵と経験を得る「時間」を経た人々がたくさんいる社会が、近代を超える社会の鍵なのではないだろうか。 少子化社会における「6つのポケット」の「高齢者」ではなく、リプロダクティブ・ライツに忙しい世代にはできないソーシャル・リプロダクティブ・ライツを主張すべき年代として成熟していけるといいなあと、思う。頼むよ、同世代。学び続けろよ。わたしたちの世代の「知恵」がマジョリティの声になれるように。 団塊+世代は、徹底した戦争違避感によって、世論に貢献してきた。その世代の影響力の薄れとともに、戦争を前提とした議論すら政治日程にのぼる。 団塊世代は、戦争なき成長を享受したお祭り世代だ。大衆学歴化社会第一世代でもある。 団塊-世代は、その上で、ていねいな社会的リプロダクティブなあり方を示せる世代でありたい。高学歴化社会のはしり世代として。教育と研究がそのことに貢献できないとすれば、それはなんなのだ? 「教育マニフェスト」のキーワードを思い出す。 =============with ERIC 2007年の展望=「わたし発・未来」================== 「深く学ぶ=喜び」のある教育 「個が交響する場」、「民主主義の実践」としての教育 「批判的乗り越え」を可能にする「自由」な精神を育てる教育 ==地域と=千年考学==地球の=千年向学==多様な=千年交学==わたしの=千念行学==
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| 2007-01-31 09:50
| ■週5プロジェクト06
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