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ことば育ちは心育て ダウン症児のことばを拓く

149-4(716)ことば育ちは心育て
岩元昭雄、甦子、かもがわ出版、2005

1998年に、日本で初めてのダウン症者として大学を卒業した綾さんとのことをこれまで御家族で二冊の本にまとめてこられている。その三冊目。
英語、フランス語の学習を続けている彼女は、その語学力を活かして、国際的に活躍し始めている。

父親である昭雄さんは中学校教員。

「人は障害のあるなしを超えて、誰もがその人なりの在り方で成長する。」11

ことばよりも先に「思い」がある。生命維持にかかわるもの、人との関係性で共に喜ぶ思い、そして、自分の中だけにある思い。15
それらの思いをことばにし、伝える努力をすること。受け止めること。

両親が心掛けてきたことは次のようなことだ。
・童謡、童話(日本は世界有数の童謡の多い国らしい。)25
・ゆっくり、はっきり、回数多く、できるだけ一語文にならないように。35
・音楽を豊かに、43
・漢字は難しくない。文章の中で、自然に。49
・日記を続ける
・数学の問題を一日5分続ける。父親手作りの「継続ノート」
・何よりも健康一番、自分のペースで。

難しいからと回避するのではなく、できるように工夫していく。そんなことの積み重ねが見えてきます。そして、岩元さんは、綾さんの中学校・高校を通しての知識、思考力、判断力が伸びたことから、「普通教育とは、知的障害が有る無しにかかわらず、すべての人に可能な限り、その人その人に合った十分な手だてを講じて、保障されなけれはならない教育だと考えます。」121

ゆっくりと、自分のペースで発達していく姿。小学校では、教室に入るのがきつくて、いつもいつも先生にうながされて入る。いじめにも合う。

聞かせる、書かせる、続ける。

何よりも、子どもの頃に「ことば」を獲得すること。それがその後の可能性を拓いていったのだという。

そこに伴走するのは、誰ですか?
すべての子どもたちの学ぶ権利に伴走するのは、誰ですか?
by eric-blog | 2006-09-23 10:07 | ■週5プロジェクト06
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