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The Progressive Manifesto

130-3(625) The Progressive Manifesto
Anthony Giddens ed., policy network, 2003

ブレア、シュローダー、ジュリアーノ・アマトらが2000年に設立したシンクタンクが出したマニフェスト。こんな本が北区の図書館にあったとは驚いた。ギデンズの検索で引っかかってきたのですが。

社会民主主義についての新進歩主義的立場の宣言と読むことができます。
民族的多様性についても、難民保護についても「進歩的」な立場とは何かをしっかりと提言できているものだと思いました。また、市民性についても、liberty, equality, solidarityという価値観による地域ごとの民主化が求められると提言しています。box1,77

国連のグローバルな社会民主主義に果たす国連や国際社会のあり方についての章で、国連の核となる原理原則がまとめられているので、引用しておきます。box3,156
・人権・人権侵害を見逃さない・結社の自由・強制労働の撲滅・環境に対する予防原則・環境に対する責任・環境にやさしい技術の推進
と、個々の人権尊重とコミュニティの、というか集団的な権利、環境という柱がたっていることがわかります。

テロリズムについても、当然一章が割かれています。Mary Kaldor "Global Terrorism"

テロリストたちは、すべて「国家」の権力奪取をめざしている。181
・民族的領土の回復と統一
・民族的に純血な国家主権の確立
・国家主権による宗教的実践や民族的伝統の実践。(強制?強権?)
・彼らは「近代」に反対する。特に近代化に伴う男女の役割転換、ゲイ文化などのセクシュアリティの解放に反対している。

解決策は、教育、メディア、福祉、職。198

これはわたしにとっては、とてもおもしろい発見です。
日本が目指した和魂洋才を、いまのテロリストたちは求めているということだからです。国家権力によって「和魂」を守り、あるいは「和魂」を守りえるのは国家しかない現状において、国家の「主権」の確立のためには「力」が必要である。
という認識は、いまのテロリストたちも同じですよね。
日本はある程度「近代教育」にも力を入れましたが、現在のテロリストたちは宗教的・民族的教育・伝承しか信じない。
国家の「主権」と独立を担保する「力」を、武力以外の何者にも頼らない。

ハマス、ジハード、アルカイダ、などなど例があげられている。

彼らが「近代的武力」以前の状態に「戻れる」日はくるのだろうか。

平和が平和への道であるとするならば、武力による伝統回帰はどこまで可能なのか。
伝統的に生きるという実践によって、伝統に回帰することができない「近代」への抗いなのであるのだが、「女性」「性」がキーワードであるところがおもしろい。

再び、近代とは何なのか。

分裂する近代なのか、それとも、自由自在にパーツだけを取り入れることができるのか。
by eric-blog | 2006-04-14 10:59 | ■週5プロジェクト06
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