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Power With 4

Power With 4

大人にとって「Power With」にはどのような課題があるのでしょうか。
成人するというのは、職業を持つ、社会的役割を果たすようになるということに他な
りません。資格社会ということで、資格をとっていれば一人前というような、非常に
短期促成的な専門家ができあがったり、マニュアルをこなせればできるような職業も
あったりと、いま、職業的社会化は多様になっています。
同時にわたしたちが職業を通して「持続可能な社会」や「持続可能な開発」に関わっ
ていることも事実です。
つまり、わたしたちには職業の社会化という課題もあるのです。*1
現場における職業的社会化は、先輩や上司からの指導などによるものだと考えられま
すが、人類共通の課題についての問題提起を受け止めた世代は、これまで通りを継承
していくことは、問題の温存にしかならない、従って職業的社会化の諸段階において、
異義申し立てを行うことも伴ってしまうでしょう。
まるで、「反抗期」の長期化のように見える現象があって当然なのではないでしょう
か。問題提起をし、それを受け止め共に問題解決に協力する。そのような組織がより
よく生き延びるのだという研究もあります。*2
常に、自分たちを検討・研究し、変革していくことができる力、それがPower Withに
求められるエンパワーメントです。
日本において、非政府組織が法人格を取得できるようになったのは1990年代も終わり
ですが、それは市民社会組織というセクターへの認知が高まったということです。
NPOやNGO、CSOやCBOなど、行政や企業以外の働き方、職業的社会化ルートが、選択肢
として拡大したとも言えるでしょう。それらの組織は社会の市民社会化を進めると同
時にNPOにおける「市民」の職業化という側面も持っています。職業化された市民が、
再び社会運動としての市民活動組織として自己を再発見するというようなことも起こ
ります。*3
NPO職員のサラリーマン化などという一般化ができるほど、まだまだ有給職員は多く
はありませんが、今後も課題となる事柄ではあるでしょう。
正社員としての雇用が少なくなっているいまだからこそ、「本物だと思えるものを追
求する」「世界を変えることではなく、自分の世界を変える」そんな、職業の人間化
とも言うべき現実をわたしたちは手にすることができるのではないでしょうか。


ポスト近代に生きるということは、絶えまざる自省、自己認識、自己改革のプロセス
にあるということです。学び続ける仲間を維持すること、学び続ける組織に組織を変
革していくこと、そして常に学び続ける自分をそこに発見すること、それがPower
Withの根源なのです。
そのためにも、わたしたちはもっとも基礎的な力として「学ぶ」ことに肯定的に、集
中して取り組める条件づけを、学齢期に行っておく必要があるのです。学ぶことは、
人生を楽しむためにあるのです。

Quality of LifeはQuality of Learningにかかっているのです。

【注・参考文献】
*1
Professional Socialization
Socialization of the Profession
あるいは職業の人間化と呼びたいところです。
*2
The Fifth Discipline, Peter Senge,
*3
開発援助か社会運動か、定松栄一、コモンズ、2002


-- あっ、そうなんだあ --

小人は私利私欲に走り
中人は党利党略を練り
大人は国威国益を計り
公人は公理公路を拓く

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何も考えず、何も思わない人は、
郷入郷従する。
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by eric-blog | 2006-03-24 09:25 | ☆よりよい質の教育へBQOE
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