119-6(561) 親の学校参加 良きパートナーとして
OECD教育研究革新センター、学文社、1998 10才以上の子どもについて、教育の責任の50%は当人にある。25%が親で、教師と一般 社会は残りの25%について半々だ。10才以下の子どもについては50%が親、25%が教師、 25% が回りの一般社会。と言うのは河上亮一『教育改革国民会議で何が論じられたか』 草思社、2000年、p.121 著者が学習意欲について言っているのか、教育内容について言っているのか、学習環 境整備について言っているのか、あるいは生活習慣一般、健康管理などの基本条件整 備のことなのか、不明ではあるが、中学校の教員である著者は、いまの日本の義務教 育が「市民的基礎」を備えて卒業するという目標を達成していない、子どもたちがひ 弱でしかも頑固に教育を拒否する傾向があるという問題提起は興味深い。 表記の書籍に戻ると、教育に対する親の関与をOECDでは次ぎのような4段階で捉えて いる。 ・全国レベルでの教育政策立案段階、あるいは委員会などに対する政治的活動 ・学校委員会への代表参加 ・学級での教師の援助 ・家庭での子どもの学習支援 そしてパートナーシップの基本は相互の尊敬と信頼である。そこから双方が利益が得 られ、そして子どもに対する教育と支援がより効果を発揮できる。と、序文でうたわ れている。 後書きで訳者を代表して、中嶋博さんが日本では教育行政への親の参加という視点が 皆無であったことを指摘しているが、わたしは親の側が得られる利益というものにも 着目しているのがおもしろいと思った。 本文で紹介されているプロジェクトなどで「親」の側が得られるメリットというのは 両親教育であったり、また、親の識字や生活支援を通して子どもの学習やパフォーマ ンスも向上するというような事例のことであり、日本でも同和教育などにおいて見ら れた視点であったろう。 そもそもなぜ親の関与が求められるのか、ということについては、以下のような理由 があげられている。30-34 ・民主主義的価値として ・学校のアカウンタビリティの証明として ・消費者の選択、ニーズに対して効率的に応えるために ・基準を引き上げるためのてこ入れ ・不利益と戦い公正を促進する ・社会問題の討議 ・財源 親の参加について、OECD9カ国に対する研究から得られた調査の結論は以下である。 78-80 子ども、おや、教師、地域社会は、互いに協力しあうなら、すべてがより多くのこと を達成することができる。しかし、個々の学校はそして全体の制度でさえ、そのよう な連携がなくても大変効果的に役割を果たし得ている。...しかし、階層化、多元化 した社会においては、若者が教育を受け、そして親が学び続ける機会を得るためには パートナーシップがただ一つの道である。 ということで、学校の実践改善だけでなく、親の関与によって疎外された人々に力を 与え、地域社会を強化することにつながる、そしてそのことはなんの制度的資金的な 支援なしで進むものではないのだ84-85と、報告は結論づけているのである。 OECDの「人生の準備は万全?」というのも読んでみたいね。 ということで学文社にTel。なんと代引翌日配達システムというのがあり、何冊でも 本代に200円プラスでヤマト運輸を使って届けてくれるという。とはいえ、「スウェー デンの教育」も「人生の準備は万全?」も在庫切れらしい。「親の学校参加」と「お となの教育」の2册を頼むことにした。 ◆◆◆BQOEガイドライン◆◆◆ ・教育的人材育成のための2年間相当の教育課程を修了したと認められる人材を採用 する ・一人ひとりの学習者の視点から、責任あるコーディネーション、マネジメントを行 う ・教育目標、教育内容、教育方法に応じた適正な学級人数を実現する ・学び続ける組織の5原則を実践する【チーム学習、自己習熟、ビジョンの共有、自 己イメージの変革、システム思考】 ・学習環境をすべての人のBQOLの観点から整える ・専門性、学際性、地域性、市民性、国際性などの観点から多様なリソースに対して オープンな体質をつくる ◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
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| 2006-01-27 16:28
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