人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」

111-5(522) 「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」 ベトナム帰還兵が語る「ほんとうの戦争」
アレン・ネルソン、講談社、2003年、2004年6刷
三枝義浩、講談社マガジンKCDX、2005

事務所に、漫画本がめずらしく置かれていた。出張中に軽く読むのにちょうどいい、と手にとって、日田旅行に向うANA福岡行きに乗る。漫画だけでは時間が持つまいと、もう一冊は羽田空港の書店で「20万部突破!!」などというポッブにつられて買った『機長からアナウンス』内田幹樹、新潮文庫。

泣きました。今日、図書館の児童図書コーナーにあった単行本の方も読みました。漫画の方は、この単行本を読んだ週間少年マガジン編集部が、漫画家三枝と、ネルソンさんにインタビューして描いて行くという展開。単行本にはない部分であり、そしてわたしがもっとも感銘をうけたのが、18年間におよんだというニイル・ダニエル博士とのPTSDからの回復を目指したセラピーのこと。薬漬けでしかなかった他の病院と違い、ニイル先生の治療は週に2回のセラピーとグループセラピーなど。一対一のセラピーでは、必ず最後に「君はどうして人を殺したんだ?」という問い。

18年、アレンが45歳になったとき、そして、ベトナムでの経験から25年がたってから、アレンはやっと「人を殺したかった」自分、自分の出世のため、認められるため、自分のために人を殺したかった自分を認めることができた。そして、ごめんなさい、と。その後2週間流し続けた涙が、彼のPTSDの症状を消していた。

さらに、漫画の方には、ネルソンさんへの特別インタビューやベトナム戦争についての説明が加えられていて、しかも、東京空襲にからんで「りんごの歌」を歌った並木路子のストーリーも収録されていて、ぜったいお得だ。あなどるべからず、日本コミック界! だす。

戦争は、人殺しなのです。自分のために人を殺すことなのです。
by eric-blog | 2005-12-02 14:42 | ■週5プロジェクト05
<< 男を消せ! ノルウェーを変えた... 中学生に送る世界と日本の話  >>