学習する社会の明日 岩波講座 現代8

学習する社会の明日 岩波講座 現代8

佐藤卓己編、岩波書店、2016

2789冊目


ワアーーイ、著者全員が1959年以降という、わたしより若い世代による教育学についての本。なんか、すごい。


以下の章をまず紹介しておきたい。


I 教育改革の新しい理念? 3 「近代主義の残像」としてのフィンランド教育ブーム 竹内里欧


2008年をピークとして、フィンランド教育が急激にブームになり、そしてすでに陰りを見せている、というのがこの論文の言わんとしていることだ。


2003年度PISA調査でフィンランドが一位をとったことによって、日本の学力低下論争が活発化し、フィンランド視察が活発化、「ゆとり教育批判」も同時に並行していた。71


わたしもブログで結構紹介している。


図解フィンランド・メソッド入門、北川達夫、経済界、2005

フィンランド 豊かさのメソッド、堀内都喜子、集英社新書、2008

フィンランドの高等教育 ESDへの挑戦 持続可能な社会のために、フィンランド教育省

http://ericweblog.exblog.jp/23366128/


しかし、フィンランド教育の改革は、ある1人の教育大臣によってもたらされている。1994年就任。

オッリペッカ・ヘイノネン「学力世界一」がもたらすもの

オッリペッカ・ヘイノネン+佐藤学、NHK出版、2007

http://ericweblog.exblog.jp/6701183/


そして、著者はこのブームについて三つの要因を指摘する。

1. 北欧幻想

2. 新旧学力の二分法形成による不安

3. ゆとり教育挫折後の理想像の不在。


そして、冷めてしまっているいま言えることは、「進んだフィンランドvs遅れた日本」という類型化として消費され、あたかも万能薬のように流行した。94



「これらの現象からは、ポスト近代社会においてなお残存する近代主義の「痕跡」、すなわち、欧米に類する地域に日本社会の不安を解消する特効薬や先導するモデルを求めてやまないという姿勢、が見え隠れしてはいまいか。ポスト近代社会にふさわしい学力や能力のあり方を模索する現代において、むしろ近代主義的振る舞いが呼び起こされてしまうとしたら、それは皮肉な逆説である。」94


そんな悠長なことを分析して語っている立場か、お前は、と突っ込みたくなるが、ここにもエリートの無責任を見る思いがするなあ。



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by eric-blog | 2017-05-16 14:51 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)
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