プリズン・ブック・クラブ コリンズ•ベイ刑務所読書会の一年

プリズン・ブック・クラブ コリンズ•ベイ刑務所読書会の一年

アン・ウォームズリー、紀伊国屋書店、2016

2772冊目


2011年から12年にかけての一年間、刑務所で開かれた読書会に、図書選定委員として、そしてボランティアとして参加した作家として記録。読書会に参加して感想を聞くだけでなく、インタビューや日記を書いてもらうなどによる情報も含まれている。


ビブリオ・バトルという「この本読んだぜ、すごいよ、これ」というプレゼンテーションの優劣を競う趣味がある。北区の図書館でも取り組んでいて、全国大会などもあるし、高校生の大会などもあるようだ。


お話し会もあるし、絵本の読み聞かせもある。それぞれに技術を磨くための研修もあれば、仲間の会もある。


しかし、読書会はどうだ?


どこか、渋谷のオサレなカフェあたりで、毛糸で編み物をする集いとか、やっそうなところで、やっていたのを聞いたことがあるくらいかなあ。


わたしも「本トのインタビュー」や「輪読で紹介する」など、テキストにまつわる読む話す聞くを研修プログラムに取り入れたりしている。テキストという、何らかの専門性を持ってまとめられたものを、「字面で読む」だけでなく、「声を出して読む」、「読まれた音を聞く」という脳のよりプリミティブな音読回路を通すことで、脳に意味が届き、自分たちの体験に照らして理解したり、解釈したり、意味付けたりすることが容易になると考えているからだ。


しかし、読書会はこれまで経験したことがない。日本語でも英語でも。その体験のためだけにでも、英米に行きたいと思うぐらいだ。


そう言えば、ジェーン・オースティンも読者クラブがあるなあ。日本でも、特定の作者については読者会がある。アガサ・クリスティやシャーロック・ホームズなんて、すごいものがあるだろうなあ。


この、刑務所内での読書会は、参加者が10人から15人程度。著者も含めて三人ほどの外部の人が、本の選定、提供(人数分準備するから大変)、場の設定(おやつのクッキーが重要なようだ)、話し合いのリードなどの役割を担っている。


参加者の中には課題の本を読んで来ていない人もいて、大抵は5人程度しか発言しない。(本には27 名の名前がリストに紹介されているけれど。)


この本は、その読書会の発言内容の記録でもない。発言によって著者が喚起された想いとか、本そのものにまつわる裏話とか。


時には、本の作者本人をゲストに呼ぶことも! 『ニグロたちの名簿*』ローレンス・ヒル。受刑者の多くが黒人であることもあり、黒人の作家であることは、作品の内容とともに彼らの経験と重なる部分も多いと判断されたからこその招待であった。


一ヶ月に一度開催されいていく。


読書という非常にパーソナルな活動だからこそ、語り合うことが面白いのだろうなあ。


どこか近くに読書会やっていないかなあ。


もう一つの興味は、「図書選定」の方法だ。


『サラエボのチェリスト』 

『スリー・カップス・オブ・ティー』

『ポーラ』


多くのものが翻訳されていることにも驚くが、当然、翻訳されていないものもある。「*」がついているものが、邦訳されていないもの。その内容からしても、そうだろうなあと思う。


黒人のみならず、イスラム教の背景のものあり、文学に限らず、ノンフィクションあり、成功する秘訣のようなものもあり。


わたし自身、文学というものから、遠かったからなあ。ブログでも実用書、専門書、科学入門書、テーマ型の本ばかりしか紹介していないし。


読書会としては、このような幅の広さも、グッドなんじゃないだろうか?


読書会を開催するために資金集めをしたり、「読書会大使」を任命して次の参加者に声をかけさせたり。アンに声をかけたキャロルという人の行動力もすごい。


そう言えば、大学時代に「歎異抄を読む会」とかあったなあ。そして最近では「9条を読む会」とかも。実は全然読書会じゃあないんだよね。


■読むことの歴史ヨーロッパ読書史ロジェ・シャルティエ、グリエルモ・カヴァッロ、大修館書店、2000
原著1997

http://ericweblog.exblog.jp/3530571/



[PR]
by eric-blog | 2017-04-27 17:11 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)
<< 差別されてる自覚はあるか 横田... 不寛容の本質 >>