植民地帝国日本の文化統合

植民地帝国日本の文化統合

駒込武、岩波書店、1996

2765冊目


 人名索引だけでも600人以上が挙げられている。書名索引は500冊。465ページもある膨大な研究書である。軒並み単行本の価格が高いのがこの著者である。


植民地についてはこれまでも紹介してきている。


■日本は朝鮮で何を教えたか、旗田巍、あゆみ出版、1987

http://ericweblog.exblog.jp/23722970/

■日本人の戦争観 戦後史のなかの変容、吉田裕、岩波書店、2005

http://ericweblog.exblog.jp/23109745/

■台湾・韓国・沖縄で日本語は何をしたのか 言語支配のもたらすもの、古川ちかし他編著、三元社、2007

http://ericweblog.exblog.jp/21759916/

■明治日本の植民地支配 北海道から朝鮮へ、井上勝生、岩波書店、2013

http://ericweblog.exblog.jp/19379868/

■日本型排外主義 在特会・外国人参政権・東アジア地政学、樋口直人、名古屋大学出版会、2014

http://ericweblog.exblog.jp/19951915/


「日本はアジアでいいことをしたのだ」というようなことも聞く。


この著者の膨大な資料読破によって、植民地支配の方針と現実の乖離が示され、明確になったことがある。


分析の視点として出されている軸は以下の五本。

・言語ナショナリズム vs 血族ナショナリズム

・内地延長主義 vs 植民地主義

・自主主義  vs 仮他主義

・文明としての近代  vs 思想としての近代

・膨張の逆流  vs 防波堤



「日本語は日本人の精神的血液」上田万年

台湾朝鮮の無権利状態と納税の義務、国籍は日本358


原敬の内地延長主義は、部分的にしか実現しなかった。血族ナショナリズムによる日本人の利益と特権優先。

教育においては、内地と同一水準の体系化をしながら、隈本繁吉は普及を抑制。

しかし、朝鮮3.1独立運動に見るように、民族自決の原則は阻めなくなる。


一方で「同化」の理念は形骸化すべくして現実との乖離を生み出していく。364

一視同仁の再生産。

天皇による統合、崇拝も「繁昌」のため。  敗戦によって脱ぎ捨てられる外套。


近代化への協力者としての植民地。370


先の五つの視点は、様々な論客によって双方から主張され、それぞれの政策に結実しつつ執行した。


民族と国民は、明治以降の日本において、いつの段階でも不一致であった。

「愛国心」を自然の人情という虚構に依存することはできない。385


植民地の存在によって問われるべきであった多民族国家体制の在り方は、敗戦によって問われないままになった。


植民地にも天皇や日本に親和性を感じる人々はいる。いた。そのことと、日本の植民地支配の正否とは無関係である。


同化の空洞化と差別の重層性。異民族との関係性・相対性。



根本的なドライブはどこに存在するのか?


わたしたち一人ひとりに問われるのだと思う。


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山中速人、「朝鮮同化政策と社会学的同化・上」関西学院大学社会学部紀要、1982


『エスニシティの社会学』も参照。1993



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by eric-blog | 2017-04-19 13:31 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)
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