釜ヶ崎と福音 神は貧しく小さくされた者と共に

釜ヶ崎と福音 神は貧しく小さくされた者と共に

本田哲郎、岩波書店、2015現代新書、2006年単行本

2761冊目


出会って以来、ハマりっぱなしである。

http://ericweblog.exblog.jp/23745583/

「憐れみ」の発見、そして「自分自身に語りかけ、次の行動を決めなさい。」ということ。

『聖書を発見する』では、「小さくされた者」と共にいる「はらわたを突き動かされる」行動。

http://ericweblog.exblog.jp/23813858/


そして、この本である。


本田さんが教会区の区長まで任されて(って、それがどれほどの意味を持つのか、わたしにはわからないけれど)いても、自分の行動は「人目を気にした」「よい子症候群」でしかないとの自認ゆえに、見破られるのではないかとオドオドと率先してリヤカーの引き手を申し出て、夜回りの街に出る。


リヤカーを引いていれば、毛布とスープを手渡して回っているよりは、接触が少ないだろうと、釜ヶ崎の街に出る。しかし、その道に、一人の野宿者。その人を見過ごしたら、見過ごしたことを「見られてしまう」という恐怖から、恐る恐ると声をかける。よい子症候群病者である。

すると、ビクッとして振り向き起きたその人が「にいちゃん、おおきに」と感謝の言葉をかけてくれた。


そこから、本田さんは「よい子症候群」から解放され、これが「神は小さくされた者と共にある」ということかと気づいていく。


ボランティアの側、困っていない側、自分の生活はしっかり営みつつ、持てるものの中から与える側に神はいない。


それは、今の生活を捨てて奉仕しろと言っているわけではない。という。


ではなんなのだ?


愛という言葉はアガペーという言葉を翻訳したものらしいが、その意味は大切にするという感覚の方が近いのだと、本田さんは言う。彼が関わった新共同薬でも、これまでの翻訳を全て変えられたわけではない。慣習の力は強いのだ。相手は世界の大宗教を自認して読み続けてきている人々なのだ。


『心底貧しくされている人たちには神の力がある。天の国は彼らと共にある。』マタイ福音書51-2


を「心貧しい者は幸いである」とする訳を変えることができなかったのだと言う。63


なさけない話です。このようにしてイエスの言葉が歪んでいく。と。


教会とは施しをする人々が集う場ではなく、小さくされた者が集う場所であったはずだと。


夜回りをしながら、「ごめんなさい、こんなことしかできなくて。受け取って、今日を生き延びていただけたら、こんに嬉しいことはない」とそんな気持ちでやるのであって、いいことをしているような気持ちでやるのではない。


なぜこんなに小さくされる者たちが生み出されるのだ? 現代世界の貧困は作り出されたものであることに気づく。


日雇い労働者が「住民票」に縛られる。

障害のある人が社会参加の制限を受ける。それは制度が健常者中心になっているから。


小さくされているのだ。


抑圧からの解放を求める怒り。そんな怒りを聖書は認めていると、本田さんは言う。


そして、『聖書を発見する』に言及されていた「分裂を持ち込む者」イエス。父から息子を母から娘を切り離し、彼らのあるがままに導く。


小さくされているものの感性が欺瞞を暴く。


まさに、今の時代に求められているのが「聖書」なんだと言う気がしてくる。


さらに、聖書はキリスト教の聖典ではないと言う。ユダヤ教から生まれ、ユダヤ教のままキリストは死に、そして福音を全ての人々に対して伝えた。


宗教を超えて、福音をこそ、伝えるべきなのだと言う。


この419日に、『聖書と歎異抄』と言う本がでる。


悪人の方が往生するのだとする教えと、共通するところがあるのだろう。


キリスト教に最も近いと言われた親鸞さんの教え。しかし、現実の世界では、随分と違うよね、宗教者たちの実践は。寺や宗教者はなにがしかのことをしているとしても、特に在家の信者の行動は、全く違うのではないだろうか?


だいたい仏教徒の行動力を信じていないからね。不殺生だって、この国の歴史を見るとちゃんちゃら笑ってしまうでしょ? 今またその道に進んでいそうだし。血気盛んに「北朝鮮からのミサイルで家族が殺されるようなことになったら、軍隊の強化や軍事的先制攻撃などに反対したような輩を個人攻撃で(テロで)殺してやる」と言うようなことを言う人が受け入れられているし。


報復の先、エネルギーの向かう先をこんなにも間違ってしまう心性が、ここ日本という土壌から生まれ出ることに恐懼する。




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by eric-blog | 2017-04-16 10:45 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)
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