東自由里さん 「記憶を繋ぐ: 場所の力とメモリアル」
公共に対する犯罪犠牲者追悼のための記念博物館国際委員会 名前の由来は「里からの解放」。どこへでも行けば良い。里は心の中にある。と親がつけた名前。 イコノス、ICOMも戦後すぐに設立された。ICMEMOはユネスコの諮問機関。もっとも政治的な委員会だと言われている。 公害資料館があることは当たり前。しかし、認識していなかった。 2019年、3年に一回の会が京都で開催される。広島と組んで、公共に対する犯罪についての分科会を提示する予定。世界共通の課題。犯罪の現場を扱っている。繰り返さないためにどうすればいいか。 「戦争は人の心の中で生まれるものだから、人の心の中に平和の砦を築かなければならない。」 被害者はいつかなくなってしまう。傍観者、いつの日か加害者になってしまう私たちをどのようにストップするか。記憶の仕方の事例を紹介したい。 ■オラドゥール・シュル・グラヌ リモージュからタクシーで20分。1944年6月10日、この村にレジスタンスの集団がいるという噂が流れ、村の住人、女性子どもたちが教会に集められて殺された。凍結保存された村。生存者は8人だけだった。隣に新しい村を建設することにした。ビシー政権はナチスに協力した政権である。 最初、この村は「私たちは被害者だ、フランスの誇りを取り戻そう」キャンペーンの一環として使われた。1940年、50年代とどのように保存されてきたかが見えるのが面白い。冷戦その時代の展示のまま、反省を込めて残している。 1999年、村に続く近くにメモリアルミュージアムが地下道で繋げて設立された。残骸が展示されている。車もボロボロになる。新たしいメモリアルでは、シラク大統領も参加して、以前とは異なる視点から開設式が行われた。欧州各地の村の虐殺が展示されている。5つのセクション。虐殺の歴史、戦争の破壊力、常設展示に加えて特別展示。ゲルニカ、スペインでの戦い。犠牲者になったというだけでなく、当時の動機はなんだったかを展示している。 http://manabuta.jp/photography/oradoursurglane/ 資料館に足を運ばない人の方が多い。その中でもうまくやっている例を紹介する。 ■Pirna ピルナ(旧東ドイツ) ドレスデンは和解の象徴。しかし、世界遺産のリストから外れた。交通渋滞が激しい。解消のために橋をかけたので外れた。 東ドイツで教えている歴史が異なる。西ではホロコーストを徹底的に。東では、資本主義者による犯罪であり、被害者は共産主義者。ユダヤ人虐殺はトーンダウンしている。西統一して、共通の歴史を。東側としてはドイツがドイツ人を殺した。共産主義者たちが被害者であった。という場所。 メモリアルはたくさんある。道路の名前にも英雄たちの名前が。ドイツの身体障害者、精神疾患を持った人を虐殺したその延長線上にユダヤ人の虐殺があった。ピルナは、精神障害のある子どもたちを安楽死させていたという場所。東ではそのメモリアルを建設することは難しい。歴史観が違う。 写真のように城が描かれたカンナレットの絵。1930年にこの城が安楽死の現場になった。駅から絵を追いかけて行けば良い、という作り。同じ絵柄がだ、書いてある文言が一言だけ変えてある。一時間はかからない。郵便局。 「安楽死のあった街」というのは誰しも望まない。それを協力してもらうための工夫。 郵便局、役場、民間の店などの壁、など。「手紙」親に届いた手紙は嘘が書かれていた。ここで幸せにやっているよ、と。「焼き場」、資料館が美しく、カンナレットの絵をモノトーンにして。 町役場、バロック建築の美しい壁。案内板が貼ってある。札のサイズは大きかったり、小さかったり。日常の中に道案内が続いている。 こちら。と入っていくと、展示がある。犠牲者たちの一人ひとりの写真。兵役の代わりにボランティアとして二年間協力するという仕事で若者たちが資料整理などを手伝っている。 隣が精神障害者のための施設。 ■バイリッシャー広場 1930-40年代、16,000人のユダヤ系住民が住んでいた場所。ベルリン。 「住民の生活を現在形で記憶する。」Renata and Frieder Schnock, 1991-1993年。駅から出てくると、ベンチがある広場。地図がある。印は80個ある。電柱に80個付いている。当時の色彩を調べて使っている。 パン屋の前に「パン: ベルリンに住むユダヤ系住民は午後4時から5時の間に食品を購入してはならない。」見たくない人は見ないですむ高さ。 郵便局の前に「ユダヤ人は自宅で猫を買ってはいけない。」1942年2月15日の決定。 「おしゃぶり: ユダヤ人は乳母にはなれない。」 公園の赤いベンチ「バイリッシャー広場ではユダヤ人は黄色いベンチにしか座ってはならない」 「DR; ドイツ鉄道、ベルリンのユダヤ人の最初の大量輸送、1941年10月18日。 「バス停: アイヒマンの事務所があったビルの前」アイヒマンの写真が忘れるな、と。ソニープラザ前のバス停。「アメリカ人が2000人ほども助けた」と言いことも書かれている。 ■グルンネヴァルト駅17番線、1998年設置。ドイツは徹底的に記録を残している。ホームに登る。プレートに、何月何日に何人輸送と書いている。177の街に、誰がいつ、何歳で死んだかが彫り込まれている。突然、みんなが逃げたというエピソード。私は知らなかったという人が多かった。逃げる人は時間もなく逃げたのか、椅子が転がる慌ただしいシーンの再現。 ■ドイツ抵抗記念資料館 軍部の施設だったところ。冷戦直後にリニューアルした。3回目のリニューアル。どんな社会主義者の人だとかも抵抗した。軍人がヒトラー暗殺計画を企てた。ワルキューレ計画。首謀者たちは失敗して、死刑になった。その場所。メモリアル。それが軍事施設の隣。 ■射撃訓練場: 2001年設置 104安全ミラー 700mの距離を16のミラーに裁判記録が。逃げた兵隊たちのメモリアル。当時の裁判での判決の記録をそのまま。殺されるところまで。警察官の射撃練習場が最終地点。上司に言われた事に従いたくない兵隊たちの事。 ■ヴァンゼー会議記念館 教育プログラム。ユダヤ人問題の最終解決を決定した場所。ヴィラ、高級ホテル。冷戦後になって残そうと、セキュリティが高いので。普通の会議場。アナグレットが考えたプログラム。 ドイツでは組合が職業別にある。美容師、会計士など、それぞれの組合員に対する研修がある。 官僚がどんな経歴が紹介されている。素晴らしい、高学歴の高官たちが虐殺に関わっていく。私たちが関わっていかないためにはどうすれば良いかを考える。 郵便局員、交通機関、税理士など、職種別にどう加担していったかを呼び起こす、今後、自分たちの職業が加担していくかもしれないということを考えるプログラム。 ナチス時代にどんな結果をもたらしたか、結果的にどんな風に加担していたか。金髪が良い。と美容室。図書館司書は、どの人がどんな本を呼んているかを報告していた。自分の職業が、どういう協力体制に関わっていくかを学ぶ。場所を生かしたプログラム。 被害者、加害者という視点は大切だが、全員が当事者であり、これからも加担していくむかもしれない。平和平和と連呼してもなかなか効果がない。 政治的プロセスを徹底的に分析する。我々ドイツ人が傍観し、加害者になり、被害者にもなった。森の名前の資料館になった。 ホロコースト記念館ではなく、今の名前になった。そこで、高校生たちが討論していた。 ポイントをまとめる。 ・場所を生かす。京都には、立命館大学、現場をなくす。記憶を消す。物が語る。どういうメモリアルがいいか? ・警鐘を鳴らすものが効果的だと思う。 ・生活者のパブリック・ヒストリー 地域の人たちの歴史を語っていく。 ドイツはうまくやっている。「過去は死なない、過ぎ去りもしない」ウィリアム・フォークナー、1951年 現在を映し出す過去、未来を映し出す過去。 日本では「博物館入り」という表現で、古いからお蔵入りにするという感覚。そうではなく、Museの女神の心を動かすものでありたい。過去のものではなく、現在進行形。忘れたいと思う人たちを巻き込みながら、資料館の仕事をどう繋げていくか。ミュンヘン市のミュージアムの事例。新聞記事。「私たちは傍観していた」ヒトラーのメッカにならないように、ネオナチの憧れの的にならないように。全てがレプリカにしている。
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| 2017-12-16 14:15
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