沖縄 二題 『越境広場3号』『眼の奥の森』 答えと問いと

沖縄 二題 『越境広場3号』『眼の奥の森』 答えと問いと

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「浜下り」宮城康弘さんの台本を読みたくて、ネットで注文。早速届いた。

表紙のTOM MAXの作品に込められた意味。

硫黄島陥落時のあまりにも有名な構図を下敷きにした占領完了の軍旗。

沖縄の地に旗を立てたのは日本軍なのだ。


さて、宮城さんの台本。


始原、永劫、未来の三つの時代を生きる男女のダイアローグによる構成。


始原においては薩摩藩とウチナンチューの女。

永劫においてはカメラマンと研究者の女性。

未来においては海猿と反対運動の女性。


どうも宮城さんの台本では女の方が強いようだ。強いというのは「生命の側」にあるという意味でだ。


そして、男たちは「制度」の側にある。その「強さ」で女を圧倒しようとする弱い存在だ。


女の強さをもてる国などあるのだろうか。


そんな答えを求めてしまう台本だった。

https://ideanews.jp/archives/32901


『眼の奥の森』目取真俊


戦後すぐに島で起きたアメリカ兵による少女強姦事件。

一人の村の若者が報復のために、次に同じ兵士たちが島にやってきた時に襲撃する。

島を逃げ回る若者の米軍による山狩りに協力する村人。区長に密告する村人。

ガマを突き止められ、催涙弾が投げ込まれ、若者は視力を失って捕縛される。

強姦によって妊娠した少女は、父親から疎まれ虐待され、精神を病んでいく。


物語がここで終わらないのが21世紀の沖縄の物語だ。


まず強姦ありきという事実を知った米軍司令官によって釈放された若者は眼敷いたまま、弟が継いだ実家で、海を眺めて暮らす。その語り口はウチナーグチだ。


区長は、米軍に協力したことを村人から冷たく見られ続け、島を離れる。

目撃者の一人である少女は村を離れていたが、年老いて、夜夢を見るようになり、夢の審議を知るために島を再び訪れる決意をする。

目撃者のいま一人の少女は、教師となり、息子もまた教師となって沖縄に生きており、島を共に向かう。


中学校で、いじめられている生徒がいる。生徒は戦争体験を語る女の物語を「真剣」にきく。いじめられないために。


戦争体験を語ったのは強姦された少女の妹だ。少女のその後が語られる。


そして、報復の攻撃によって傷を負ったアメリカ兵のその後の語りで物語が終わる。


いや、終わったのか?


いくつもの異なる小説を読んだような。


まだまだ、他の物語の糸口がほころび、余韻が続いていく。投げ込まれた小石の波紋は消えない。


答えではなく、広がり続ける問いがある。


「わたし」の語りに入り込む他者の声、眼差し。存在のリアルがそこにある。

わたしとは、そのように生きているものなのだ。そして生きることには終わりがない。物語は続く。問いを投げかけながら。



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by eric-blog | 2017-04-12 11:35 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)
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