保育園浪人 子どもを産んで、なぜ罰ゲームを受けなきゃならないの?
清家あい、秀和システム、2017
2962冊目
子どもを産んだ時、保育園のことについては何も考えずに、0歳児の時から一週間に一日、無認可保育施設に預けていた。自分自身の時間のためだったのだが、そのせいか、保育園への入園はなんのトラブルもなく決まった。収入が低かったので、保育料も安かったと思う。
いま、事務所の隣の100平方メートル弱のスペースが小型保育施設になるという。子どもの数は0,1,2歳児、19人。5~6人の保育士が着く予定だ。
議会に赤ちゃんを連れて行って、物議を醸した女性議員もいるが、この本の著者も港区の区議である。港区ではこの10年で出生率が二倍になったという。10
港区ママの会では陳情・請願活動を展開。
共働きが増え、職についている女性が増えているにもかかわらず、子どもを保育園に預けることができない、そんな現実が「日本、死ね」という発言につながったのだという。
日本中の子育て世代が東京に流れ込んでいる結果なのだと、著者は言います。日本の少子化は加速度的に進んでいるのだと。だからこそ、東京における子育て世代対策が求められるのだと。
しかし、土地はない、保育士の確保が難しい。保育園を義務教育にでもしなければ、解決できない。
待機児童ゼロを実現するには、定員の空きが大量に出ている状況でなければ、無理なのだ。100
2006年、OECDは保育白書「各国はなぜ乳幼児期の教育とケアに投資するのか」を出した。先進国共通の課題なのである。その対策から取り残されてすでに10年、20年。107
Too Late, Too Little.
なぜなんだろうねぇ?
日本総研の予測では、東京都では2040年になっても保育所ニーズは増加。144
今も保育士不足は続いている。
「働く女性の状況」に見るように、母数が2800万人というような労働力人口であれば、0.1ポイントの上昇でも28万人の保育ニーズが増える可能性がある。
M字型カーブは顕著ではなくなったものの、今もある。対策がゴテゴテになっているのは、「専業主婦が3歳までは育てる」という通念に縛られてきたからだ。
私自身がそうであるように、パートタイムであっても、社会参加し、働き始めなければ、道はひらけない。子育てが終わるまでの40代まで待っていては、社会参加、就労の道は極めて狭くなる。しかも、その就労可能性は、「東京」にしかないのかもしれない。
とすれば、現在の70%台の就労率が80%台にまで上がることも考えて、対策しなければ、「女性の活躍」を支援することにはならない。
ベビーシッター制度、企業内保育施設など、多様な選択肢も提供しつつ、ゆったりとした「保育オーバーキャパシティ」状態を求めていくということなのか。
人口動態など、データは揃っているのに、なぜ計画的にできないのだろうか?
保育士登録者数は約119万人、勤務者数は約43万人であり、潜在保育士(保育士資格を持ち登録されているが、 社会福祉施設等で勤務していない者)は約76万人
―保育士等に関する関係資料 – 厚生労働省(2015年10月)
潜在的にいるんだなあ。驚きだ。
http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11901000-Koyoukintoujidoukateikyoku-Soumuka/s.1_3.pdf