日本をもう一度江戸時代に戻そう!
浅井隆著、飛岡健監修、第二海援隊、2008
2937冊目
江戸時代は男性過剰の社会だったというような認識があったり、江戸が素晴らしいのか、江戸時代が素晴らしいのか、用語の使い方を間違っていると思うことがしばしばである昨今の「江戸時代」ブーム。
この著者の方もほとんど「江戸」と「武家社会」について語っておられることがほとんどだ。人口の90%ほどが農民であり、農村に生きていた時代の諸相に迫っているのだろうか? と少々疑問。
過去をやたら美化しているだけでなく、そこからこれからの日本の参考になることを読み取るために、「いい面」に学ぶということについては否やはない。ただ、それを成立させた条件に、人権侵害、男女の不平等などが付随していな買ったかなどの検討が、不十分になるのではないかと、読む前から眉唾ですが。
明治時代に開国された時に訪れた外国人たちの回想録でベタ誉めリストが第一章、第二章。ジャポニズムとして、その影響力も。
武家というのは土地という資源から切り離されたガバナンス中心の人々であり、その人たちの心の支えになったのが「儒学」であり、神仏習合の上に儒学が加わったのが江戸時代の武家の精神性の高さにつながった。67
それが明治維新によって神社の統廃合による地域の神社の破壊。南方熊楠が「鎮守の森」の破壊に警鐘を鳴らしたのは有名な話である。77
神道は政治的祭祀の場となり、仏教は葬式仏教になった。77
そこに加えて太平洋戦争での敗北、というか都市、人、財産の破壊が凄まじかった。確かに日本は驚異的な復興を遂げたが、それは物質的なことだけになってしまった。79
江戸時代から学ぶことが第四章で項目別に書かれている。
・江戸のリサイクル社会
・100%自給自足システム
・遊び心 ものはなくても暮らしを楽しむ心の知恵 識字率が高く趣味人、庶民にゆとり
・人間関係 江戸の町役人による束ねと大屋による長屋の管理。
・日本独自の藩が育てた地域の絆 強い藩民性 保守的な加賀藩のピラミッド型支配
・教え上手、育て上手 学力低下はそろばん離れ 「三つ心、六つ躾、九つ言葉、十二文、十五理」これいいなあ。
・世界観 大自然と共に心豊かに
そして第五章は「もう一度鎖国を!」
まあね、鎖国してもいいとまで覚悟があるなら、江戸時代万歳の主張もわかるか。それぐらいの覚悟でないと日本の再生はない。米国の第51番目の州に成り下がる。
というか、属国だよね。
著者が実践する「再生日本21」はこちら。
http://www.saisei21.jp
伊勢崎賢治さん、吠える。「歴代米国大統領、ちゃんと玄関から入ってこい!」
http://iwj.co.jp/wj/member/archives/405019#memberB
著者が引用している『文化力』を書いた川勝平太さんて、ノエル・ペリンの『鉄砲を捨てた国、日本』を翻訳した人なんだ! 感激!