中学生からの愛の授業 学校では学べない、宮台真司が10代に本気で教えたいこと
宮台真司、コアマガジン、2010
2935冊目
宮台真司さんは、2011年の3.11以降、随分変わったと思っていたが、この本は思ったよりも面白い。対象は中学生だが、サブカル研究者からちょっと想像できないくらい真面目に語っているではないか。
五人の中学生への個人授業という対話形式で「愛」が語られる。
第三限「学校」と「愛」から
実は著者は「ゆとり教育」を推進した一人、その変質を見てきたわけだ。
しかも、結果として「ゆとり世代」にはメンヘラー=病み系が多いという。136
その原因は、ノイズの少ない環境で育ってきて、環境の変化やノイズに弱い子どもが育ってしまった。「むりむり」、大きな夢より「ジモティー」化。
そもそも学校は刑務所と軍隊をモデルにしている。効率的なメーカー系労働者を育成する時代はそれでも良かったが、コミュニケーション系仕事人が求められるようになった現在では有効ではない。1970年代、西洋の学校はシフトした。にも関わらず、日本は変わらなかった。
クリエイティビティへ。
日本の自殺が多いのは「金の切れ目が縁の切れ目」だからだ。経済を回すために社会を犠牲にしてきたツケが回ってきている。176
自殺を止める力はたった一つ、「あなたが死んだら哀しい」と伝えること。