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ESDフアシリテーターズ・カレッジ スキル「みんな」地球市民を育てる




2016年度の主催研修スキル「みんな」では地域ボスの問題が取り上げられました。

http://www.eric-net.org/news/ESDfcVV2016kiroku.pdf


今年度のスキル「あなた」で、小悪魔によるコミュニケーションの支配を分析しました。

http://ericweblog.exblog.jp/237933249/


地域ボスの支配力と、小悪魔の支配とはローカルとナショナル、地方と中央という補完関係にあります。


それは、日本においては守護と地頭のように、地域の中の土着の力と、中央からのヒエラルキーの支配の関係として古くからありました。


戦後、民主主義と女性の参政権を含む完全普通選挙が導入され、財閥解体、農地解放など、支配の力が弱まる政策がとられました。


しかし、内藤朝雄氏が指摘するように「中間組織の全体主義」は民主的に制度設計され直すことなく、戦後も継続した。

http://ericweblog.exblog.jp/17351860/


氏は、「「構造的な力関係によって人格的な隷属を引き起こしやすい社会領域(学校、職場、家族、地域社会、宗教団体、軍隊など)」を中間組織と呼んでいる。そして、そこに生まれる「全体主義」がいじめの構造だ」と指摘する。


また、社会教育の分野で大きな足跡を残した松下圭一さんは、地域組織を分析して四分類しています。一つは、わたしたちNPOやNGOが組織する「テーマ型」組織、二つ目はテーマ型とも被りますが、特定の工場の公害反対運動やゴルフ場建設反対などのような「NIMBY=わたしの裏庭ではいやよ・地域利害型」です。これらの二つは比較的新しく生まれた、第二世代の地域組織かもしれません。


では、その他の二つの地域組織とはなんでしょうか? 松下さんが上げているのは「行政主導型」組織と「地域郷党型」組織です。


行政主導型というのは、地方自治体レベルで、地域に行政方針が行きわたるようにトップダウンで組織を作らせるものです。交通安全協会、社会福祉協議会、自治会、婦人会、子供会、老人会など、課題別、対象別に組織され、時には行政がその運営をお手伝いしたり、補助金を出したりなどして動かされているものです。


地域郷党型というのは、昔からの地域の名士、庄屋、町役などを勤めたことのある家柄や実力者などによって仕切られている組織です。その地域の束ねの力を使って、行政交渉を行ったり、利益誘導をしたりなどのボトムアップの動きを生み出す力を持っています。


守護と地頭のように、上からと下から、これらの二つの組織原理は異なる組織原理を持ちながら、行政主導で組織を作る時、うまく地域郷党型の組織を利用するのだと松下さんは指摘します。


ですから、地域ボスと小悪魔は、同一人物について分析しているように見えながら、異なる行動原理を持っているのです。


この「上から」と「下から」の原理はどちらがいい、悪いの問題ではないことは明らかです。


わたしたちの国際理解教育センターのような組織は、国際社会での合意事項や人類的な課題を「トップダウン」で日本社会に持ち込むというミッションを持っています。しかし、わたしたちが「参加型」という一人ひとりの主体と気づきを重んじる手法をとっているのは、「わたし」の存在の中に宇宙も、地球も、人類的出来事も、入っているからです。わたしたち一人ひとりはユニークな存在でありながら、同時にユニバーサルな存在なのです。


一人ひとりがどう生きるか、何を選択するかが、社会を、地球を、そしてユニバースを構成するし、影響する。そんなことがわかり、そしてそんな認識が共有される時代になったからです。


ユニバーサルとローカルの呼応関係によって、切り開かれていく未来。どんな未来に生きたいかを考え、行動する時代。みんなが哲学者であるような時代に、わたしたちは生きているのです。


とはいえ、現実的には、日本社会に生きるわたしたち一人ひとりは多様な中間組織に所属し、そこは悪魔の手先の小悪魔と地域ボスの権力闘争の場であり、野合の場であるのではないでしょうか。


生き延びる知恵はどこにあるのか、生き延びるだけではなく、自己実現につながる道はあるのか? そのような道を選ぶ力がわたしたちにあるのか?


そんなことを今月末の研修では考えたいと思います。



by eric-blog | 2017-11-15 10:29 | △研修その他案内
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