人気ブログランキング | 話題のタグを見る

「空き家」が蝕む日本

「空き家」が蝕む日本

長嶋修、ポプラ社、2014

2921冊目


このところ、空き家関係の本を立て続けに読んでいる。しかし、わたしが欲しかったのはこの視点だ。


「新築偏重の住宅政策」そのものの問題点だ。


収入の1/3程度を住宅費に費やしているのに、その資産価値はだだ下がり。転売できない、改装のためのローンを組めない、災害で流され潰れてもローンだけは残ってしまう、最悪二重ローンというじたいさえ発生する?!


愚かすぎないか? こんな制度。


あとがきで著者は「マズローの五段階欲求説」には6段階目があったのだと暴露。その欲求とは「コミュニティー発展欲求」169


社会が幸せになることと、自分が幸せになること。


誰かがFBで「田舎小金持ちからなけなしの現金をくすねてやらせるコンビニ経営」と書いていたけれど、本当に、オレオレ詐欺といい、日本は金余りなのだと思う。まともな投資先がないというか。


不動産がまともじゃないのが一番のガンだよね。高価なのに。


それもこれも「新築偏重」政策。


イギリスの、グリーンピース仲間を訪ねた時、彼らは古家を購入して内装に手をかけていた。転売するのだという。そんな素人細工で? でも、かけた手間以上の価格にはなるという。


■0円で空き家をもらって東京脱出!:地方移住を描いたコミックエッセイ

、つる けんたろう、朝日新聞出版、2014.8


みたいな感じ。ただに近い価格で住宅を手に入れて、手入れをして、再生する。そんなことが、別に町おこしだとか、なんだとかではなく、フツーに、個人がやって、それで成立するように、住宅政策がなっている。


新築偏重モ、政治的圧力の結果だ。家を買った大家さんは団結力がないけれど、建設する業者は、業界団体で結託している。スクラップアンドビルドの政策に一票、どころか会社ぐるみで票を投じるというわけだ。


賃貸住宅に向けられる公共投資なんて無きに等しい。しかし、今こそ、新築持ち家政策から、中古修理・機能性アップで長持ち政策へと転換すべき時なのだと著者は言う。全くだ!


今から「空き家対策」に税金つぎ込む時代が来る? とんでもない失政だよね。


第六章 エネルギー問題と住宅政策

既存の住宅の省エネ対策をしろ! 全くだ。


そして、地方分権型の再生可能エネルギーの開発。全くだ。


安倍政権はこれらのすべての政策再検討から背を向けて、新しい分野、「防災」「防衛」に権力的恣意的予算配分の活路を見出していると言うわけだ。そして、それに群がるハゲタカファンドは、いつでもどこでもいるのだ。おいおい、狙われているその金は、わたしたちの税金だよ!


阿部知子議員が言っていた。国会議員がまともに国政のことができる政治体制になっていないと。「何も決められない国になっている」のだと。


結構、この本の著者のように、一人一人を見ると有能で、未来だって見えているのにねぇ。全体で議論したり、決定したりできないのね。


ま、この著者も、金儲けのためにセブ島に不動産投資事業で通うのに忙しいようだしね。金のためでもなく、自分のためだけでもなく、コミュニティーのためにと思って動いている人でも、こうだもんね。


空き家も生かされていないけれど、人材も生かされていない。


それは参加の文化がないからだ!


いつも思うけれど、「Why」がないんだよね。行動原理の根底に。
https://www.ted.com/talks/simon_sinek_how_great_leaders_inspire_action#t-1168211

by eric-blog | 2017-10-31 11:45 | □週5プロジェクト17
<< めげない女たちの物語 戦後70... アニメで読む世界史 >>