男装の科学者たち ヒュパティからマリー・キュリーへ
マーガレット・アーリク、北海道大学図書刊行会、1999
2909冊目
Hypatia's Heritage: A History of Women in Science from Antiquity to the Late Nineteenth Century
1986
何じゃ、このタイトルは?
内容には全く関係ない。ただただ目を引きたいためのものか?
マリー・キュリーの名前が副題にあったので、男装とはつながらず、???で借りてみた。
元の題はヒュパティア。どうりでで映画『アレクサンドリア』と繋がるはずだ。
http://d.hatena.ne.jp/nikubeta/20130627/p1
知性があり、教育を受けた人だけが挑戦することができる科学という世界。それは特権的なグループのもの。
女性についてはそれはさらに精選される。
彼女たちは上流階級出身であり、資産家である。
西欧社会は男性によって支配されてきた。時には女性科学者たちの成果そのものが彼女たちの名前では発表も記録もされなかったのだ。
しかし、歴史を遡ると食事の準備や皮なめし、染色などの作業に従事していた女性たちは植物学者であり、産婆であり、医者であったのだ。17
農業が男たちの領分になるようになって、それは紀元前1万年前くらいからのことだが、役割が変化してきた。
しかし、神話における女神の重要さも注目する必要がある。
プラトンのアカデミーに学んでいた女性たちは、男装していた。公共の会合から女性を排除する法律があったからだ。33
そして四世紀のアレクサンドリア。ヒュパティアの活躍は生涯が記録された初めての女性科学者。
宗教対立の末のヒュパティアの虐殺は、アレクサンドリアにおけるプラトン主義の終焉でもあった。60
講義を聞くために男装して紛れていただけでタイトルを「男装」とするのはいただけないなあ。
いずれにせよ、「魔女」と忌み嫌われた時代以前から、連綿と、女性たちの知識は継承されていたのだなあ。