CHAVS The Demonization of the Working Class
チャヴ 弱者を敵視する社会
オーウェン・ジョーンズ、海と月社、2017
2905冊目
階級社会イギリスでも、経済成長の時には中流層が増え、そして階級を意識することは減っていた。
結果、かどうかわからないけれど、労働組合が弱体化、景気がよくなり、企業の業績が上がっても労働者の賃金は増えないという事態が進んでいる。
本書は二つの失踪事件の対比から始まる。同じような年頃の女の子だ。一方は捜索願が出され、懸賞金までかけられる。一方はその失踪の事実さえ報道すらされない。
そして、生活保護を受け、私生児を生んでいるその親たちに対するバッシングさえ始まる。
労働者たちの敗北はどこからきたのか。
サッチャー政権下での1984年の炭鉱ストライキ潰しか。
キャメロンの切り捨てか。
チャヴ・バッシングのためにサッカーのチケットの値上げすら行われた。
1980年代が転換点だったと映画監督は言う。メディアで労働者階級を貶めることが認められたのだと。139
チャヴスカム。
日本における生活保護不正受給追求と同じ手段が使われたのだ。代表例でも、大多数でもない例をとりあげて、ヘイトを煽る。39
メディアの世界そのものが、若者に投資する力のある階層出身者だけのものになってきているのだ。38
チャヴを攻撃するのは保守政権にとって都合が良い。労働者階級にとって不利な経費削減を行いたいからだ。108
北欧系と英米系。
なんだか不幸な対比であるが、どうやら日本は英米系に構造的に近づいているようだ。