重重 写真展2017 「重重 消せない痕跡」
安世鴻、JuJu Project, 2017
2894冊目
2017年10月4日 17時から
セッションハウス gardenギャラリーにて写真家自身による写真解説。
https://motion-gallery.net/projects/juju2017
今回、インドネシア、東チモール、フィリピンなどを訪れ、新たに30人以上の日本軍による性被害にあった人々と出会ってきた。彼らも含め、60人以上の物語を含めた写真展及びビデオ上映会。
とても良かった。たくさんの人に見てほしいと思った。
問題は「慰安婦」のように制度化され、場所が常設された性奴隷だけのことではない。
日本軍の前線に置かれた監視所に引きずり込まれて、何人もの兵隊に強姦されたり、洗濯などを手伝うように言われて出かけて行って強姦されたり。
戦後70年以上が経過し、ほとんどの被害者たちは90歳近い。安さんが何回も取材に訪れる間にも亡くなった方々もいる。
記憶し続けること。忘れないこと。伝え続けること。
安さん自身のことについても聞けた。
20年ほど前にナヌムの家で慰安婦の方々と出会ったこと。男として恥ずかしかったこと。何ができるかを考えたこと。自分自身の写真という技術で「共にできること」をやる道として重重を思いついたこと。
重重とはlayer by layer 重ね重ね であるという。
重い思いや、生の重層性。
そして、90年近くを生きた人々の、女性性を捨象した人間性そのものが写真にあふれている。
暴力は人間性に対する罪なのだ。
■2013年のニコン裁判関連
http://ericweblog.exblog.jp/19153200/
■マヤ・アンジェロウさんの言葉。「歴史は、いかに苦痛に満ちていても、やり直せないけれど、しかし、勇気を持って向き合えば、誤ちを繰り返さずに済む。目を挙げてあなたの朝を見なさい。」
http://ericweblog.exblog.jp/3710776/
朝を見つめて
つらい記憶を抱えて生きて永らえてきた年月
胸をかきむしられる記憶に疲れて目覚める幾たびの朝
からだに残る残虐さが蘇る日々の一挙手一投足
痛みと不調を引きずりながら迎える来る昼来る夜
記憶が心を蝕むのに口に出して語ることを拒む地域
語らずとも知悉しつつ語らせない人間関係
悪い奴は悪いのだと裁きを求める叫びを封じられる社会
心の置き所を蹴飛ばされ
忘れることは叶わない。
老いがもたらす穏やかさも
震える手から零れ出る。
差し伸べる手を引いてくれるのは誰?
語る言葉を聞いてくれるのは誰?
勇気を持って見つめてくれるのはアナタですか?