◆◇◆1. 連載「グローバル・セミナーをふりかえる~今と未来の教育のために」を終えて◆◇◆ ERICは、教育的指導者育成団体として、自らも「学び続ける」組織であることを実践してきています。Learning Organizationとは、ピーター・センゲが指摘するように、「持続可能な組織」に共通する原則の一つです。 ERICの参加による教え方・学び方の方法論については、三つの学びの時期を、ちょうど10回目のグローバル・セミナーが終わった頃にまとめました。 第一期 「気づきのためのアクティビティ」 第二期 「築きのためのスキルとツール」 第三期 「社会的合意形成のための参加型手法」 その後、それらの学びをベースに2000年からESDファシリテーターズ・カレッジという、2年間の教員養成のための高等教育のあり方を実践的に提示してきました。また、環境と人権という大きな持続可能性の柱となるテーマについて、ERIC独自のテキストもまとめました。 学び続けると言いながら、10回目以降、「新しい」学びにワクワクすることは、わたし自身は無くなりました。いずれかというと、「学び続ける社会」「生涯学習社会」にどのように貢献するかを実践的に行い、ふりかえり、改善するための方法を、ていねいに実践してきたのだなと思います。 一方で、2000年以降、2001年9月11日をきっかけに大きく世界が変わったのも事実です。米国軍は、アルカイダを殲滅するためにOEF(不朽の自由)作戦を行い、2346人もの戦死者を出しました。2749人がニューヨーク、ツインタワーへの自爆攻撃によって亡くなったことに対する報復として、兵士がその同数に当たるほどの数、死んでいるのです。傷害者数は2万人超と、ニューヨークでの数を大きく上回っているのです。 これほどの死傷者を出す作戦は2014年末に終了。オバマ大統領の元、無人機攻撃及び顧問の派遣という形に変更。以来の死者数はわずかに33名と激減しました。 しかし、一方で2003年からは中東全域(アラビア海、バーレーン、アデン湾、オマーン湾、イラク、クゥエート、オマーン、カタール、紅海、サウジ、UAEなど。)でOIF(イラクの自由)作戦を展開、2010年の作戦終了までに4411名も死者を出しているのです。こちらも地上部隊の撤退によって、米軍の死傷者数は激減しました。 2001年10月から2010年9月までの9年間で6757名の死者を出すような中東地域への介入を米国軍は行なっているのです。米国にとっては5万人以上の死者を出したベトナム戦争以来の大規模なロスであったわけです。 https://fas.org/sgp/crs/natsec/RL32492.pdf その間にも、2009年の米国発リーマンショックという経済的なショックも、世界的な打撃になりました。 日本でも経済的な影響は大きく、バブル崩壊後の不況に拍車をかけました。この間に民主党政権への政権交代、そして2011年3月11日の東日本大震災、福島第一原発事故など、大きな変化が起こりました。 大きく概観すると、21世紀は、ベトナム戦争後の世界のおさらいのような気がしています。トランプ政権の成立、BriextイギリスのEU離脱など、世界は、それぞれの国の国益中心で、回るようになってしまいました。 1970年代に多国籍企業の存在によって、国益中心主義は破綻するのだということが、公害問題を中心に了解されました。1992年のリオ・サミットまで、国際社会は協調して問題に取り組まなければならないこと、そのための枠組みづくりに努力を重ねたのです。 現在の経済のグローバル化、金融の越境性は、国益中心主義では解決できない状況を、環境問題のみならず、労働、人権の問題にも人類共通の課題を拡大しつつあるのです。 1990年から2000年の約10年間の学びをふりかえって、わたしたちは、いま再び、国際理解教育、多文化教育、多文化共生などを学び直さなければならないのではないかと再認識しました。 常に、私たちの社会に参入してくる「真っ白な紙」のごとき次世代に対して、大切なことは繰り返し伝え続けなければならない。教育とは、偉大なマンネリでもあるのです。 マンネリではありますが、教育に関わる者が学んできたことは、「学習の本質」に迫る教育方法論であり、より精査された教育内容であると思います。地球の命にとって、同じことは、二度とは起こらないのです。 よりよい教育を全ての人に。そのことにもっと真剣に社会が取り組むことがESDです。広げましょう。ESD。わたしたちのよりよい生き残りのために。
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| 2017-10-03 12:12
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