ERICニュース537号 FH原稿 ◆◇◆( .) ファシリテーター・ハンドブック2「構成的に学ぶ」◆◇◆ 効果的な学習の四つの要素の一つが「構成主義」constructivismです。 構成主義について学びを深めるためのキーワードやERICのテキストが採用している教授法にどのように構成主義が生かされているかを紹介しています。 http://www.eric-net.org/news/FH17Constructivism.pdf 経験学習という教授法が効果的な学習法であることは、『学習の本質』など、最新の研究からも明らかですが、今回のKISS!は次の「経験学習の三原則」です。 経験学習と呼ぶことができるのは次の原則を満たしている学習指導のみです。 ・経験のふりかえり ・経験の共有 ・経験の広がり 四段階のふりかえりだけで、効果的な経験学習になるわけではありません。 Let's KISS! Keep it simple and shortによって、より良い質の教育の点検力を高めましょう。 構成的に学ぶ=経験から学ぶ=経験学習の三原則 効果的な学習の一つの原則が「構成主義」Constructivismです。わたしたち一人ひとりが「世界の理解」を構成しつつ、世界を理解し、行動をコントロールしている、それが構成主義の考え方です。一人一人が理解の主役であるということ。意識しているとしていないとに関わらず、です。 その世界の認識を構成しているのが経験です。わたしたちは、わたしたちの行動に対する環境からの反応をモニターし、次の行動を選択、決定するのです。 では、その「当たり前の学習」をどのように学校教育の現場や教授法として取り入れることができるのでしょうか? 教育的指導者が介在することで、より高い質の学びにしていくことができるのでなければ、教育の意味がありません。 経験学習というのは構成主義的な学びであるという位置付けも、重要です。経験学習Experiential Learningと言えばジョン・デューイ、デューイと言えば経験学習と言っても良いほど、デューイの「経験から学ぶ」ことについての教育学における影響は大きいのですが、これまで様々な教授法が経験主義学習に連なるものとして試みられてきました。 ・問題解決学習 ・発見学習 ・プロジェクト学習 戦後、日本で民主主義教育が始まった時、子どもの事実から始まる学習として経験学習的なアプローチが取られましたが、子どもの経験の幅や深さの限界から「這い回る経験主義」と批判も受けました。 1970年代から80年代、そして現在に至るまで、学習者中心のアクティビティを開発してきたのが英国の開発教育協会やワールド・スタディーズ・トラストであり、PLT『木と学ぼう』の米国の環境教育のネットワークです。PLTの「構成主義」を含む教授法の五つの原則はすでに紹介しました。 ワールド・スタディーズの学習者中心主義でもPLTの教授法の御原則でも、協同学習的であることは共通しています。 英国のワールド・スタディーズの学習者中心学習の系譜に連なる『未来を学ぼう わたし地球を結ぶ価値観とビジョン』(Values and Visions)というカリキュラムでは、「経験の広がり」を「自己の感覚」「コミュニティ意識」「価値ある地球」と三層で構成しています。 経験学習的アプローチのこれらの現代的な先行知見からわかることは、経験から学ぶ経験学習のよりよい質は、次の三つによって実現されるということです。 ・経験の広がり ・経験の共有 ・経験の深まり わたしたちの生活は、『ワールド・スタディーズ』が示したように、世界との相互依存で成り立っており、そのことの意識化とその気づきに基づいた行動の選択は、より良い社会、世界、地球に行きたいと願うのであれば、必須のことなのです。 これらの三つの視点を欠いた経験学習は、「這い回る経験主義」を超えるものとはならないでしょう。 いま、学習指導要領に含まれる「アクティブ・ラーニング」の考え方も、経験学習の考え方に連なるものだと言えるでしょう。経験学習を成功させるこの三つの視点で、ぜひ点検をしてください。
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| 2017-04-08 10:30
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