空爆の歴史 終わらない大量虐殺
荒井信一、岩波新書、2008
2884冊目
これまで日本列島を空爆したのは米軍だけである。
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「はじめに」で著者自身の少年時代に「ソ連の爆撃機」に備えよという宣伝映画があったという。が、ソ連による空爆はあったのだろうか?
対して、日本が空爆した国は中国である。1937年から45年にかけて12592回。(p.53)
そのことを忘れている感じするのはなぜだろうか?
ダルフールの大虐殺も空爆でもたらされている。
ドイツ軍のイギリス空爆は有名だ。
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東京大空襲などの被害者による損害賠償の訴訟も行われている。
空爆の背景にあるのは差別的な「帝国意識」であると、著者はあぶり出す。
1919年、イギリス空軍参謀長ヒュー・トレンチャード「植民地の法と秩序は、在来の守備隊よりも機動力の優れた空軍によるほうが安上がりで効果的に維持できる」。3
文明の落差による心理的な効果。空からの統治、懲罰効果。
1903年に開発された飛行機が戦争で使われたのはすでに数年後。
・イタリアトルコ戦争 1911
・バルカン戦争 1912
・青島戦争 1914
その後、1930年代には「選択的空爆」論が浮上。水道、鉄道などのインフラ破壊が住民の士気を挫くものとされた。24
1923年「空戦に関する規則」が住民に対する無差別爆撃を禁止。26
しかし、相手が報復手段を持たない非「文明国」であった場合には、禁止兵器が公然と使われた。27
「ファシズム時代」の空爆
1937年ゲルニカ
1938年重慶
民族の抵抗と空爆
・ベトナム戦争 南ベトナムは歴史上最も激しく空爆された国になった。
そして「対テロ戦争」と空爆の時代に。
しかし、今に至っても、空爆は、相手を挫く決定打ではないのだ。