アーサー・ビナード講演会
2017年9月16日 土曜日 午後2時から午後4時40分まで、青猫書房にて
参加者30名up
物語の本質を見抜く力はどこにある?
アーサーは「もの」が語る物語を引き出すマジシャンである。
『さがしています』 14のものと8月6日に消えたその持ち主。さがしています。彼らの生がそこにあった時のことを。
『ドームがたり』 102年前に生まれた物産館。あの日を境に「原爆ドーム」と呼ばれるようになった建物がみてきたものはなんだろうか? あの日の前から、あの日の後の原子力の「平和的変容」まで。そして、その宣言の真裏で起こっていた水爆実験のこと。
『ここが家だ』 あの戦争を生き延びた久保山愛吉さんが生き延びた水爆実験。戦中に通信士として働いていた久保山さんは、米国の水爆実験というトップシークレットに遭遇したことを知った時、以下に生き延びるかを考えた。その半年後に死んでしまった彼の物語をどう語るか。
わたしが一番衝撃を受けたアーサーの作品は第五福竜丸の物語だった。絵もすごいと思ったが、内容もすごかった。
ベン・シャーンが第五福竜丸について描いた絵、Lucky Dragonとアーサーは、実家の父のコレクションとして出会っていた。
日本に来て、語られている物語の異様さに気づく。トップシークレットに遭遇してしまった漁船を米国軍が見逃す? ありえない。
そこから「物語の本質」に迫る探求が始まる。
米国人の目から見れば、明らかに「変」なことすら、気づかない「平和ボケ」のわたし。
ここまで平和ボケにされてしまったわたしたちに「ミサイル」の恐怖が降ってくる。手もなく巻き込まれてしまうメディア戦争。
襟裳岬から日本列島の本土の長さと同じだけ離れた2200キロに落ちたミサイルに怯える姿は、ボケさ加減を示している。
物語の本質に目を向けるアーサーさんは、あなたの物語にも目を開かせてくれる。「あなたの物語の本質はなんですか?」と。