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北朝鮮ミサイル発射実験に伴う「避難訓練」に子どもたちが駆り出された事例について

北朝鮮ミサイル発射実験に伴う「避難訓練」に子どもたちが駆り出された事例について


829日に引き続き、今朝もミサイル発射実験があり、8時のNHKラジオニュースは官房長官の独演会であった。


8月の実験も、実は日本政府は事前に知っていたということでしたが、国民に対しては「Jアラート」で突然感を演出したようです。

http://www.asyura2.com/17/senkyo231/msg/635.html


では、なぜ事前に教えないのかという質問に対しては、答えることもなかったわけです。


95日に開かれた政府交渉では、「防衛できている」と回答。

「ミサイル防衛で国民の安全に万全を期している」~北朝鮮から20発飛来するムスダンもすべて迎撃できる!? 関係省庁の無責任答弁に市民らも「呆れ」!北朝鮮ミサイルめぐり対政府交渉 2017.9.5


http://iwj.co.jp/wj/open/archives/397412


では、なぜ、子どもを巻き込んだ避難訓練を行うのか?


第二次世界大戦中に行われた空襲に対する消火訓練や避難訓練も、その実効性のなさは、桐生悠々を引くまでもなく指摘されている。


さらには、「空襲から逃げるな」という借家人が多い都市部での土地持ちさんの利益を守るためなのかと邪推したくなるような命令も出している。


「昭和12年に作られた法律、「防空法」です。

空襲への備えを強化するため、昭和16年、太平洋戦争が始まる直前に改正されました。

退去の禁止や消火の義務づけを、大臣が命じることができると定められました。」

http://www.nhk.or.jp/shutoken/miraima/articles/00030.html


「防空法での処罰を布告した金井氏の前職は特高官僚、戦後は兵庫県知事を経て参議院議員となった。議員時代の1972年の回顧談では「市街が空っぽになっては困るので、消火活動をする人は残ってくれと触れたんです」と平然と話す。」

http://gendai.ismedia.jp/articles/-/52800?page=3


「昭和13年に東部軍司令部の監修で作られた12枚組ポスターの一つで、今でいう政府広報である。表題には「落下した焼夷弾の処理」とある。」

https://synodos.jp/politics/13238


空襲対策のおかしさを指摘したら「非国民」呼ばわりされる、逆に逃げたりすれば食料配給を止められるなどの仕返しされる。何れにしても、合理的に考えて行動できる余地は、庶民にはないということです。


「X国からの攻撃を想定して避難訓練をせよ」と命令されて、そのままをやるというのは、このような「国家の無謬性」を再び受け入れてしまう土壌づくりにつながってしまいます。


また、本当に子どもを守るのであれば、同時に地域の大人の訓練もしなければ、避難の実効は上がらないはずです。しかし、そんなことをした地域はどこにもない。何よりも「学校の大人」に対する非難誘導訓練すら行われていないではないですか。


わたし自身も環境教育指導者育成に携わっていますが、学校と異なり、防災頭巾すら常備することはありません。しかも、戸外で活動するのです。にもかかわらず、その活動に従事する大人たちに対する避難誘導訓練は呼びかけられたことはないのです。


なぜ、子どもから?


彼らが弱者だから? だとするならば、彼らの周りの大人たちにまずしっかり訓練すべきなのです。「闖入者」対策がそうであったように。守る側の訓練こそが必要なはずです。


命令して行動させることがやりやすいからだとしか考えられません。


では、そのような訓練を命令一つで子どもたちにやらせることは、子どもにとってはどのようなメッセージになるのでしょうか?


「X国」と日本の歴史も知らない、なぜ攻撃があり得るのかという背景も知らない(まず、第一に攻撃されていないのですが)、知識理解が少ない子どもたちに避難訓練だけをさせることは、非人道的ですらあります。


多文化教育、国際理解教育が、これからの持続可能な社会、多文化共生社会、グローバル化された国際社会に生きていく人材育成には不可欠であると言えます。国際理解教育の視点から言って、守られるべき子どもたちに対する恐怖心を煽るような訓練は百害あって一利なしなのです。


あまりにもあからさまなので言うまでもないと思いますが、いくつかの害を指摘したいと思います。

  • λ命令に従う子どもを育てられるが、実際に避難が必要なようなまさかの時には大川小学校のような悲劇に、繋がる可能性がある訓練でしかない。
  • λ効果が疑われている避難訓練を、無批判に受け入れる姿勢が強化される。
  • λ疑いを挟む発言をする子どもが、大人たちの会話を背景にいるとしたから、その子どもがいじめられたり、批判されたり、「非国民呼ばわり」されたりする。
  • λ「津波てんでんこ」のような避難のための基本原則すら身につかない。
  • λX国との歴史的な背景を知らないために、「攻撃」するのは「悪い」国という判断につながりかねない。
  • λ「悪い」という判断に対して「やり返す」ことがいいことだという価値観に簡単にシフトする発達段階の子どもたちも、含まれている。だからこそ、いじめの問題など道徳的な課題に学校教育が取り組んでいるのだが。
  • λ国と国との関係は、ずっと続いていくものであり、その時その時の判断だけで、「正邪」「好き嫌い」の判断に繋げることがあってはならない。が、子どもは短絡的な理解に繋げやすい。指導者にもよるが。


ざっと考えても、このようなネガティブな影響が子どもたちにはあると考えられる。子どもを対象にした避難訓練から、「ミサイル防衛対策」を始めることに、わたしは反対する。



■唯一の被爆国として、あげた拳を避けさせていくような外交努力を期待したい。

北朝鮮から帰国したアントニオ猪木議員が日本外国特派員協会で会見 2017.9.13

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/398063

■お上の言うことだから間違いなかんべえと言う感覚が、子どもの頃の教育から身に染み付いていた大人たちの怖さ。

噂を事実にしてしまえ!? 朝鮮人虐殺の責任を隠すため国家ぐるみででっち上げ!? 〜関東大震災で軍、警察、民衆は何をしたのか 2017.9.10

http://iwj.co.jp/wj/open/archives/397880

■国民の保護 まともに考えているとは思えない内容。
http://www.kokuminhogo.go.jp


by eric-blog | 2017-09-15 14:01 | ☆よりよい質の教育へBQOE
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