三里塚のイカロス
代島治彦監督作品、2017
2875冊目
すごいパンフレットである。セリフもト書きも全て入っている上に、画面のカットも118場面分も収められている。島寛征さんへのインタビューも。
インタビューした相手は、空港公団の人、中核派、農民の反空港闘争、支援者、支援者で農民と結婚した人。プラス、小川紳介監督の三里塚の映像、北井一夫さんの写真で構成されている。
1966年7月4日、成田に空港をという突然の閣議決定が翌日朝の新聞に載ったところから、闘争は始まる。
成田が開港するのは1978年5月8日。実に10年以上の時間がかかったのだ。
1986年、二期工事着工、2002年に2本目の滑走路運用開始。
一方で1988年には空港利用者1億人を超えたのだ。
http://www.imageforum.co.jp/theatre/movies/929/
「成田」が「市民参加の意思決定」の方法論を研究する必要を強く感じさせたのだと、その後、わたし自身が市民参加の方法論を学ぶ中でよく聞かされたことだ。
国際的にもそれほどに認知されるほど、こじれた闘争であった。
- λ加瀬勉 農民運動家、千葉県多古町
- λ岸宏一 元中核派、第一次羽田闘争参加、1981年から2006年の25年間、三里塚現地責任者。
- λ秋葉恵美子 支援花嫁第一号
- λ秋葉義光辺田部落出身。1980年代に中世から続いた部落の集団移転を決める。移転先で支援花嫁の一人が2006年に移転、うつを患い2013年自殺。
- λ前田深雪 元ML派、佐藤訪米阻止闘争で逮捕、1年間獄中に。
- λ前田勝雄
- λ吉田善朗 元第四インター、「朝倉」の団結小屋跡地にて、17歳の時、地下砦を掘削中の落盤事故で半身不随に。
- λ平田誠剛元第四インター、1978年3月26日の管制塔占拠事件に参加。8年間服役。映画初日にイメージフォーラムに来ていた。
- λ中川憲一元プロレタリア青年同盟、管制塔占拠事件に参加。8年間投獄。実行部隊15名、全員逮捕。
- λ前田伸夫元空港公団用地買収担当、自宅を中核派に爆破され、愛犬を失う。
- λ石橋政次 反対同盟副委員長、1979年から戸村一作の後、委員長代行に。開港後は運動が収束したと判断、1981年、前田を通して公団総裁と秘密会談を模索。失敗し、辞職。
- λ加藤秀子 元中核派、移転先の農地でインタビュー。1984年支援先の北原派農家長男と結婚。1997年に移転決定。「裏切り者」と呼んだ側から呼ばれる側に。
代島監督の映像によるのはこれらの11名。(石橋政次さんは小川紳介監督の映像より)
カメラ担当をした加藤孝信さんと監督とのトークがあり、監督が前作の『三里塚に生きる』の大津幸四郎さんのカメラワークとの違いが語られた。
自分自身も、その場でインタビューしているかのような、距離感がすごかった。
『もうろうと生きる』のカメラマンもしているとのことなので、見に行くんだろうなあ。昨日の手話教室でもいい映画だから是非と言われたし。