ERIC news 551号 2017年7月23日 GS連載11 未来を学ぼう

グローバル・セミナーをふりかえるNo.11〜今と未来の教育のために 鬼木たまみ
この連載では、ERICが設立当初から10数年にわたって開催したグローバル・セミナーを紹介しています。

◆◇第10回 グローバル・セミナー(1998.6.7-6.17)
・テーマ:未来を学ぼう-わたしからつながるグローバルな気づきと未来のコミュニティを探る
講師:デイヴィッド・ハリス(MDEP:マンチェスター開発教育プロジェクト、「未来を学ぼう」プロジェクト/イギリス)、西田真哉(SMILE:聖マーガレット・生涯教育研究所)、松崎好男(東京ホリスティック教育研究会)、山西優二(開発教育協議会)、ERICスタッフ
・会場:東京YMCA国際奉仕センター
・地域セミナー:(愛知、大阪、神奈川、岐阜、奈良、4府県、5回)
・翻訳出版:『未来を学ぼう-わたしと地球を結ぶ価値観とビジョン』

第10回グローバル・セミナーは、東京YMCA国際奉仕センターとERICの共催で行われました。
この回のセミナーは、第10回という節目の回になることから「未来のための教育を考える」と題した参加型のシンポジウム形式を初めて取り入れ、パネラーと参加者が一緒に話し合い、考えるという学びの場を持ち、記録にはミュラル(=壁絵、壁新聞の意味)方式が用いられました。海外テキストの翻訳出版と併せた形のセミナー開催はこの回で終いとなり、セミナーはひとつの区切りを迎えました。

「子どもたちが学校を巣立つ時、何か一つ贈ることができるとしたら、あなたは何を贈りますか」(『未来を学ぼう』より)

「タイトルを直訳すれば、『価値観とビジョン』ということになりますが、人間が人間としての共通基盤として何に価値観を置くか、それぞれの文化や社会の背景にある宗教や信念によって、違いはありつつも、そこには共通性があるということをテーマとして追求されたカリキュラムです。
「人について学ぼう」や「人間の見方」「生きることを学ぼう」などでも良かったのかもしれませんが、未来のビジョンにつなげていくカリキュラムである点に焦点をあてて、『未来を学ぼう』にいたしました」(同、「編訳にあたっての観点」より)

「子どもたちは、生まれながらにして感じる力も考える力も全てにおいて豊かな精神的成長の芽をもっています。その芽を育てていく、その芽が伸びる機会を提供するのが教育であるはずです。セミナーを通して、教育に関わっている人もいない人も、子どもも大人も同じ人間という基盤に立って、ともに考え行動していくこと、また、お互いに関わりとつながりに気づき、未来から現在の在り方を考えるための手法とその意味を学び、そして共有したいと考えています」(セミナー「開催趣旨」より)

いま、子どもたちに、自分に何を贈りたいですか。
子どもたちに、自分に何を贈ったらよいのか、いっしょに考えていきませんか。
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この連載も11回目となり、今回は第10回のセミナーを紹介いたしました。実は私がグローバル・セミナーの開催に関わるようになったのは2000年の第12回からなので、連載記事は開催回ごとにまとめられたフォルダーにある資料をもとに書いています。
フォルダーには企画書や報告書をはじめ、講師との打ち合わせ記録や広報用素材など日本語と英語のさまざまな資料がおさめられているのですが、私が強く興味を惹かれているのがミーティング記録です。

講師に誰を招くのか、なぜその講師なのか、目標設定をどこに置くのか、効果的なプログラム構成はなにか、テキストのタイトルの邦訳はどうするのかなど、セミナー開催や翻訳出版に向けての検討や議論、ネクストにつなげるためのふりかえりがまとめられたミーティング記録には、ERICの学びのプロセスと蓄積が満ちあふれています。

連載は残り4回です。ひき続き、グローバル・セミナーの学びとメッセージの一端をお伝えすることができればと思っています。

【追記】 かくたなおこ
『未来を学ぼう』は「Values and Visions価値観とビジョン」のタイトルを、これまでの「学ぼう」にならって、つけたものです。『地球のみかた』も「地球を学ぼう」にすればよかったなあ。
このテキストは、前年のヨーロッパ視察ツアーで、翻訳を決めました。実は、ヨーロッパ視察に出掛けた時も、参加型ということではもう翻訳したいものは見つからないなと思いはじめていました。ということで、鬼木さんも告知しているように、海外のものの翻訳と著者を招いてのセミナーの組み合わせという形でのグローバル・セミナーも残りの方が少なくなりました。
とはいえ、この本の翻訳には本当に心を砕きました。タイトルもそうですが、価値観の背景にキリスト教的なものがありつつ、多様な宗教的な背景に通暁する普遍的なものを求めている姿勢がありました。価値観や宗教的な背景について語ることすらも遠い感がある日本。とても悩みました。ぜひ、テキストを手に取って、私が書いた部分を読んでみてください。
そして、持続可能な未来はビジョンと価値観の共有の先にしかないことを、最近とみに激しくなる排他的ナショナリズムへの逆戻り現象を見るにつけ、思います。

*第10回グローバル・セミナーのプログラムと新聞記事はこちらからご覧になれます。
http://eric-net.org/project/global_seminar/gs98_news.pdf

*テキスト『未来を学ぼう』を紹介したERIC NEWSアーカイブは、こちらからご覧になれます
http://archives.mag2.com/0000004947/20071028070000000.html

*テキストのお申し込みはこちらからどうぞ。
http://eric-net.org/text-order.html

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by eric-blog | 2017-09-08 14:24 | ERICニュース | Comments(0)
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