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「沖縄シマ豆腐」物語

「沖縄シマ豆腐」物語

林真司、潮出版社、2014

2873冊目


シマ豆腐、大好きである。近くのスーパーに売っているので時々トーフチャンプルを作るために買ってくる。しかし、「アチコーコー」は望めない。


熱々(アチコーコー)をいただく沖縄の人々と違って、本土の豆腐はたっぷり水に放たれてのち、掬い上げられるので「冷奴」が基本である。それを沖縄にも強制しようとしたことがあったということに驚いた。


1972年本土復帰後の1974年の食品衛生法改正でのことらしい。世に名高いAF2対策として、である。沖縄県豆腐油揚商工組合の初代理事長である砂川幸一さんの尽力で、法律に「水晒しをせずに直接販売するものに限って」という文言が追加され、適用外となる。55


その交渉のプロセスにも、どこか一方的なものを押し付けられて来た沖縄の姿が浮かぶ。


人類館の歴史や、大阪に出て来た沖縄人が集住する地域と在日のかかわりの歴史も語られる。


沖縄のトーフがアジアの豆料理やトーフ文化とつながっていること、多分、米作以前の木ノ実食の歴史が「生搾り」にはあるのではないかということ。


生搾りは豆乳の搾取率が低いので、養豚と合わせて行うことが合理的であること。女性の生産販売者が多いことなど。


また、沖縄の昆布文化と北海道との繋がりなど、文化人類学的にも社会学的にも面白い本である。ノージャンルというか学際的というか、チャンプルーというか。いい。


またシマ豆腐が食べたくなった。スクガラスを乗せて、ちびりと食べるとするか。味わいの複雑さが増すだろうか。



by eric-blog | 2017-09-08 10:03 | □週5プロジェクト17
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