永遠の道は曲がりくねる

永遠の道は曲がりくねる

宮内勝典、河出書房新社、2017

2854冊目


この書評では小説の類はあまり紹介したことがない。ESD持続可能な教育に関わるものを中心に紹介したいと思うからだ。


しかし、この本は、凝縮された小文字の歴史のような内容なのだ。


集まるシャーマンの女たちが語る物語。多くの女たちの物語。


主人公が体験してきたことからの視点、そして、今も交信する宇宙船に乗っている友人の宇宙からの視点。


四つの名前を持つという女の視点。


うるま病院で、沖縄で心を病んだ人々を見守ってきた二人の医師の視点。


多くの目が見つめるものは、「二千億の果実」。


ヒトが誕生してから、生まれてきた人々の数。


次の果実が生まれ、また新たな生が営まれる。


壮大ないのちの連鎖が、育まれる。


だが、著者は問いかける。ここに記憶されている生は、あなたの望むものなのかと。


PTSDすらも、ひょっとしたらその後のシャーマンとしての開花に必須なものなのかもしれない。彼女がその過去から逃れることはない。彼女の人生がこれからどうなるにせよ、次の果実には、何を望むだろうか。


1944年ハルピン生まれ、60数ヶ国を訪問。その経験も、描写に生きている。



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by eric-blog | 2017-08-08 14:08 | □週5プロジェクト17 | Comments(0)
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