日本史のなぞ なぜこの国で一度だけ革命が成功したのか

日本史のなぞ なぜこの国で一度だけ革命が成功したのか

大澤真幸、朝日新書、2016

2725冊目


たった一度の革命。それは北条泰時による天皇の粛清と御成敗式目の制定だったと著者は言う。信長は天皇の権威を否定したが、その革命は成功しなかった。秀吉は天皇の権威を尊んだ。


北条泰時による元寇に対抗するための全国行脚のようなドラマを見たのはいつのことだったか。渡辺謙が泰時ではなかったか。国という意識が希薄な人々に防衛意識を持ってもらうための苦労が描かれていたと記憶する。


著者は、この革命は徹底的に自生的秩序を認め、それを制度化することで成し遂げられたという。


そして、泰時が天皇、上皇を弑しながら、天皇制を否定しなかったこと、それまでは中国からの継承法でしかなかった律令国家から続いて来た法制度に、御成敗式目という固有法を追加したこと、それらがとてもスムーズであり、後世の歴史研究家からも評価されていることなどを示している。


なんとスムーズな革命。無血とは言えないけれど。


革命的なのだが、否定しながらも、天皇制を認めることで、新しい秩序の構築に成功した事例。


一方で天皇制そのものは決して直接的な執行体ではない。常に執政や将軍やなどなどが存在して来た。戦前は「元老」たちが。その元老が欠けたことによって、戦前の日本には政治的責任の空白が生まれ、無責任な体制になってしまったのだと。


では戦後は? 執行体はアメリカだと、著者は衝撃的な指摘をしている。


泰時はなぜ革命に成功したのか。

集団指導体制、連署制など、ヒントは示されているが、「なぞ」の解明にいたったとは言い難いなあ。



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by eric-blog | 2017-03-15 08:34 | □週5プロジェクト16 | Comments(0)
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