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ERICNews 545号 by ERIC 2017年6月11日 コッカイオンドク

◆◇◆1. 参加型で学び合う「コッカイオンドク」! ◆◇◆


 なるほど、あっと驚く取り組みがあるものですね。これはESD的に「教育的」です!


2017年5月14日ERICニュース541号でも紹介しましたが(経験の広がりFH17Scope.pdf) ESD持続可能な開発のための教育が目指す「経験の広がり」の判断基準というものがあります。再掲します。


「授業における持続可能性のテーマの選択基準」p.63

・持続可能な開発という理念に向いているか(多次元の統合)
・ESDのコンピテンシーとの明確な関連づけ
・長期的な意義
・学問における幅広く多様な知見に基づいて特定のテーマについての研究と政策を根拠づける
・生活世界との関連性とグローバルな世界観を持たせる
・個人および共同体に、利害関係者に、政治、経済、学問、科学技術に対して望みのある行動可能性を示さなければならない
・自己組織的学習とパースペクティブ変容に有利な前提を与えなければならない
・学習者たちの教育目標にとっての重要性を明示しなければならない
・授業中に獲得される各教科のコンピテンシーと結びつけられなければならない


『ESDコンピテンシー 学校の質的向上と形成能力の育成のための指導指針』より

http://www.unesco.org/education/tlsf/

http://ericweblog.exblog.jp/20466584/


 今のホットな課題を扱いつつ、この活動の優れている点はホームページで「生データ」を紹介していること、専門家による解説を紹介していることの二点だと思いました。争点のある情報やテーマを扱うことは、環境問題や人権問題などの「人類共通の課題」に取り組み「課題解決」を目指す人材育成に不可欠な要素です。が、現政権が目指す方向以外について問題提起することはタブー視される傾向すらあるのが現実ではないでしょうか?


法務省がとても簡単な「誤解を解くための解説」を掲載しています。これも短くて読みやすいです。

http://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji30.html


 活動のカンパのために使われていた口座を、株式会社ゆうちょ銀行は、あまり事前通告することもなく、「取引停止」するようです。ま、事前通告すると、「逃げ」られますものね。どんな判断があったのか、情報公開してほしいです。「個人情報保護」の観点から公開しないとする、では、判断の根拠を知ることはできないということですよね? 今後の展開に注目、ですね。

http://blog.livedoor.jp/oogesataro/archives/2175605.html


 財産権というのは憲法で保障される権利の中でも強いものだと、わたしは思っていたので、このニュースには驚きました。


 皆さんは、どう思われますか?そしてまた、そのようなニュースを、どのようにESDのテーマ、興味関心として、教育の現場で扱うのが良いでしょうか?



◆◇◆2. 連載「グローバル・セミナーをふりかえる~今と未来の教育のために」No.6◆◇◆




(担当:鬼木たまみ)

この連載では、ERICが設立当初から10数年にわたって開催したグローバル・セミナーを紹介いたします。

◆◇第5回 グローバル・セミナー(1994.1.27-2.14)
・テーマ:協力、コミュニケーション、セルフ・エスティーム
・講師:マーゴット・ブラウン(リーズ大学グローバル教育センター/イギリス)
スーザン・ファウンテン(国連ユニセフ開発教育担当、"Learning Together:Global Education4-7"著者/アメリカ)
ケリー・ミューレイ(対立の解決ネットワーク・コンサルティンググループ/オーストラリア)
中野重人(文部省教科調査官)
小貫仁(埼玉県立川越南高等学校)
・地域セミナー:東京、名古屋、大阪、仙台、松山、長崎、広島(7都府県、11回)
・翻訳出版:『いっしょに学ぼう』『テーマワーク』

第5回グローバル・セミナーは、日本ユネスコ協会連盟、日本国際理解教育学会、東京YMCA国際奉仕センター、ERICの四団体が協力して開催しました。
この回のセミナーは、1日目に講師の参加型プログラムを体験し、2日目に参加者自身が授業や活動案を作成、ファシリテーター実践を行うという、いまのERIC主催研修、ESDファシリテーターズ・カレッジや指導者育成研修のプロトタイプともいえる構成になっています。

「子どもたちは、地球のどこかで行われた選択が同時に地球のほかの地域に影響を及ぼすことを学ばなくてはなりません。(中略)あえて選択したり実行しなくても、私たちがふだん無意識に行っていることが、意識的な選択や行動と同様に、周囲の世界に大きな影響を及ぼしているのに対して影響力をもった人間なのだという意識をもたなければなりません。グローバル教育は、最終的には行動することをめざす教育なのです」(テキスト『いっしょに学ぼう』より)

「西暦2013年、世界はどのようになっているでしょう。私たちの街は、日本は、地球環境はどんなふうに変わっているのでしょう。今年誕生した子どもたちは、元気に、バラ色の未来を胸に20歳を迎えているでしょうか」(同、翻訳者あとがきより)

今から20年後の西暦2037年、わたしたちの街を、日本を、地球を、どのような未来にしたいのか、あらためてテキストを読み解きつつ、いっしょに学びあいませんか。

*第5回グローバル・セミナーのプログラム、紹介記事はこちらからご覧になれます
http://eric-net.org/project/global_seminar/gs94_news.pdf

*テキスト『いっしょに学ぼう』『テーマワーク』を紹介したERIC NEWSアーカイブはこちらからご覧になれます
http://archives.mag2.com/0000004947/20061126070224000.html

http://archives.mag2.com/0000004947/20060216074048000.html

*テキストのご注文はこちらからどうぞ
http://eric-net.org/text-order.html

■追記(かくた)

 スーザン・ファウンテンさんは、ユニセフ発行の『開発のための教育』の著者でもあります。彼女は、「国際理解教育、開発教育、環境教育などのテーマについての教育に共通するスキルがあり、それは幼少の頃から養うことができる」と言う考えでこの『いっしょにできるよ』を執筆されました。その共通の基本とは「セルフ・エスティーム」「コミュニケーション」「協力」の力であり、ERICが「わたし」「あなた」「みんな」と整理しているものです。

 『テーマワーク』は複数のテキストをまとめたもので、テーマについて深めるためのツールが紹介されており、QFTなどに通じるところがあるものです。このテキストをまとめたのが『たった一つを変えるだけ』の翻訳者、吉田新一郎さんで、当時のERIC事務局長です。ですから、「質問づくり」のアクティブ・ラーニングに取り組みたいと考えている教員にとっては、『テーマワーク』は使いやすいものだと思います。

 もちろん、『参加型で伝える12のものの見方・考え方』は、それらのツールをさらに洗練させたものだと自負していますが、プラス、ツールブック・シリーズの『TOOL 8』『STEP 5』などが、学習を進める上でも役立ちますね。

 今回「ファシリテーター・ハンドブック」で紹介している「コミュニティの課題解決」も、テーマ学習の応用の一つです。



by eric-blog | 2017-06-29 12:30 | ERICニュース
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