2017年 ERIC news 1月8日号 

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ERIC NEWS 523号 ともによりよい質の教育をめざして  2017年1月8日

ESDファシリテーターズ・カレッジ! すべての学びを参加型で!

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(文責: かくた なおこ 角田尚子

http://ericweblog.exblog.jp/

twitter : kakuta09  FBもやってます。)


ERICBQOE, Better Quality of Education「より良い質の教育」の提供を目指して、参加型、学習者中心主義による教え方・学び方を提供して来ました。ブログのタイトルにも「BQOE」とされていることにお気付きの方もいるでしょう。


BQOEの考えは、QOLから来ています。 Quality of Life 生きるということの質という言葉は、大切な言葉、鍵となる概念の言葉です。


しかし、Lifeが生命とも人生とも訳される言葉であるだけに、訳しにくいのです。「人生の質」、「生活の質」、「生命の質」どれかだけに訳してしまうことは、原語の意味を損なう翻訳例の一つだと言えるでしょう。


そのため、わたし自身は長くなりますが、「生きるということの質」と言うようにしています。命を愛おしみつつ生きている人生のようなイメージが共有できるといいなと願いつつ。


QOLは人権にとっても大切な鍵概念で、「人権とは一人ひとりのQOLが高められること」と説明したりしていました。


人権教育に取り組む中で、同和教育や反差別の教育の歴史の中から生まれてきたのだけれど、どう違うのだろうかと自問していました。


はたと気づいたのが、同和教育や反差別の教育が「欠損しているもの」「より低いもの」などを取り戻したり補ったりする被差別者にとっての「キャッチアップ」型、補償型であるのに対し、「人権教育」は、差別の解消に取り組む社会全体、差別している人にとっての気づきや成長を伴う「ベースラインアップ型」教育だと言うことでした。


「当たり前」のQOLの保障を求めるのでは、「男並みに働く女」みたいになってしまう。そうではない、より良い質のQOLを求めることが人権教育なのだということです。


もちろん、同和教育、反差別教育も社会変革を目指していたわけですから、そう整理できる側面もあるというだけのことです。


この考え方は、『いっしょにESD!(ERIC,2007)40ページに図で示しています。また人権教育とは何かについて説明するときにも、よく板書したり、資料に含めたりしています。


Betterより良いにこだわるのは、「Best」だと改善の余地がなくなりやすいからです。常に改善の余地を感じさせるBetterが、より好きです。


より良い質の教育というのは、このBQOLを思いついたところから、教育についても同様にと使っています。


Qualityという言葉は、それだけで「質の高さ」を表し「良質の」と訳すことができる形容詞でもあります。2015年に国連が合意したSDGs持続可能な開発のための17の目標の中で教育に言及している目標でも使われています。


目標4「すべての人に包摂的かつ公平で質の高い教育を提供し、生涯学習の機会を促進する」

Goal 4: Ensure inclusive and quality education for all and promote lifelong learning

http://www.unic.or.jp/news_press/features_backgrounders/15775/


さらっと一行で書いていますが、教育にかかるポイントは二つ、動詞は二つの複文です。


教育についての二点は次のようになっています。


  • inclusive
  • quality


inclusiveも訳しにくい言葉の一つです。「包摂的」と訳されていますが、原語に比較すると、その言葉を日常的に使う人々は限られているでしょう。


英語ではincludeは日常語です。「わたしも入れて」みたいな感覚で、”Include me”, 「カウントしておいてね」「人数に入れておいて」「誘ってよね」のように、仲間に入れることです。日本語で、「わたしを包摂してね」なんて聞いたことも言ったこともない。


人権の大きな三つの変化の方向を示すキーワードとしてわたしがあげるのがdiversity, equity, process-thinkingです。多様性、公正さ、問題解決型思考。Diversityをよりよく説明する概念がinclusivenessです。


多様であっても、様々な文化が並立的に存在でいるだけではdiversityの意味はありません。多様性とは多様な文化が存在することではなく、それらが共にあることです。Inclusionとは、文化とは、孤立したり、飾りのように扱われたりするものでなく、共にあろうとするものだということです。


そう考えれば、なぜ「アイヌ文化振興法」(1997)が批判されるのかがわかると思います。日本文化の外にアイヌ文化を置き、それをお飾りのように保護する。それでいてその文化の主体には「先住権」という民族的権利すら認めない。


アイヌ文化という多様性が誰のためのものであるか、あまりにもあからさまだと言えるでしょう。


北海道旧土人保護法(1899)から100年を経て、制定されたアイヌ文化振興法。それから20年の今年。わたしたちが開くべき次の扉ははっきりしています。


SDGsの意味するところを深く真剣に捉えつつ、MDGsから17年の達成を喜び、だからこそ見えてくる次の目標へと向かう。


SDGsの達成に向けて、今年も、皆様と共に努力していきたいと思います。

http://www.jp.undp.org/…/post-2015-development-…/goal-4.html

http://www.un.org/sustainabledevelopment/education/



Are we promoting diversity and inclusiveness?

Do we stand up for equity for all?

What can we do to solve the problem?


理念を教育的ツールに、そしてわたしたちの行動指針に。


2017年も、よろしくお願いいたします。


■祝30周年! 

JATAN熱帯林行動ネットワークも設立30年を迎えるのですねぇ。19871月。

http://www.jatan.org

JANIC、国際協力NGOセンター。1987年設立。

http://www.janic.org/about/index.php


なんと、国鉄が民営化されてから30年なのかあ。


30年と言えば、わたしの人生の半分。思えば長いNGO人生だなあ。




◆◇◆ 523号の目次 ◆◇◆


◆◇◆1. 2016年度最後のERIC主催研修「TEST」教育力向上講座3月18-19日開催決定!

◆◇◆2.2017年度の主催研修日程

◆◇◆3.ERIC絶版テキスト・教材の提供



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by eric-blog | 2017-01-06 17:23 | ERICニュース | Comments(0)
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