This is Japan 英国保育士が見た日本
ブレイディみかこ、太田出版、2016
2657冊目
『ヨーロッパ・コーリング』を予約中の著者によるインタビュー、視察中心に書かれたレポート。
まずは、保育士配置基準が「やばすぎる」日本。
三歳児で20人に一人か、6人に一人か。四歳児になると30人に一人か6人に一人か。96
さらには保育園にはカリキュラムがない。
Austerity measuresだらけの現場。緊縮措置。
ミクロとマクロを結ぶというのは、保育士のための教育においても必須の視点。しかし、日本では、現場は現場のミクロしか見ない。そのミクロの背景にあるマクロや社会的な構造などは考えない。
反貧困ネットワークで、いろいろな運動がつながったように見えたが、その後がない。そのことについて、荒川区東日暮里の「あうん」の中村さんはいう。
「運動の右も左も、地域社会も上意下達がはびこっている。
考える、学び合う、という習慣が、実は運動体のなかにない。」181
欧州の「人間は皆生まれながらにして等しく厳かなものを持っており、それを侵されない権利を持っている。」というヒューマニティ。キリスト教的レトリックは日本人にはわかりづらい。224
日本人の尊厳はつまるところ「アフォードできること=支払い能力があること」によって担保されるだけのもの。
義務と権利のセット。