~果てしない孤独~独身・無職者のリアル
関水徹平、藤原宏美、扶桑社、2013
2651冊目
SNEP
いかにもスネ夫な感じのネーミングだが、2013年の出版なんだなあ。
無縁社会などが問題提起された頃の話だ。
社会との接点がない人々。
玄田有史さんの分析から「働いていない」「社会との接点がない」人々のこと。
SNEPとは20-59歳で、結婚したことがなく、学生でもなく、家族以外との人付き合いがない、孤立状態にある無業者。
Solitary Non-Employed Persons
地縁血縁社会から
社縁社会へ
社縁社会の終身雇用が崩れ、非正規化
結果、家族を形成することができなくなった。
この本では、「家族以外の接点がない」と言う表現が気になった。
と言うのも、英語では、「I have a family」と言えば、結婚して家族を形成していることで、両親や兄弟姉妹がいることを意味しない。
実例を読んで見ても、「家族」とは実家家族のことである。いい加減、そう言う使い方をやめよう。
一人型SNEPは、今直近で困っているが、家族型SNEPとか、何の意味があるのだろうか? 介護が必要になったら、崩壊していくだけではないか。
女性と男性の生涯未婚率の推移がおもしろい。1970年代半ばごろ、女性が男性より高かったのは、女性の自立が進んだことからだろう。
それに対して90年代以降の男性の高さは、就職氷河期から家族給金体制の崩れが影響しているのだと思う。
ケーススタディのほとんどが、職場でのパワハラやブラックによって体調を崩し、精神を病んで、職場を去っているのが、社会の病でもあることを示している。
一方、こうなることは、予測もできていた。
『孤独なボウリング』 http://ericweblog.exblog.jp/7459630/
そこでは、社会参加を予測する要因として以下のものをあげている。
・教育水準・世代・性別・地域・居住都市規模・労働負担・結婚・子ども・収入
- ・経済的不安・宗教・人種・地理的移動性・通勤時間・持ち家の有無・その他
特に、日本社会には、「フェデラリティ」「公共圏」「ボランティア」で人と繋がる機会が少ないのかもしれない。
『ミドルクラスを問い直す』
http://ericweblog.exblog.jp/15658451/
労働者階級が、団結して闘ったのに対して、ミドルクラスは学校で勉強し、高等教育を受け、就職活動を切り抜け、昇進のために仕事にはげみ、スキルアップする、個人の力で抵抗しようとする「孤独な群衆」なのである。
こんな本もある。
■希望のニート
http://ericweblog.exblog.jp/3007367/
強くなければ生きられない。
強いだけでは続かない。
互いにケアする社会とはどのように可能なのであろうか。
タイトルが本当に寂しい本だなあ。