兵士は戦場で何を見たのか

兵士は戦場で何を見たのか
ディヴィッド・フィンケル、亜紀書房、2016 
2604冊目

『帰還兵はなぜ自殺するのか』の姉妹編。日本では『帰還兵・・』の方が先に翻訳出版されている。

バグダッドの治安維持のために、イラクに増派された三万人の兵士の中の800人、カウズラリッチ中佐に率いられた軍隊16-2。正式名は長いから、いい。

2003年から始まったイラク戦争。増派の目的は、「イラクの人びとと協力して近隣の治安を守り、地元住民の命を守り、残るイラク軍がバグダッドの求める治安を確実に提供出来るようにすること」18

この400ページを越える本は、2007年4月から2008年4月までの12ヶ月を、資料、インタビュー、参与観察などの一次資料、二次資料から綴ったもの。

ブッシュは言い続ける。「勝つまで続けなければ」と。かつために増派する必要がある。闘わずして勝つことはできない。

兵士たちは闘う。闘う相手は強硬派のムクタダ・サドル指導者率いる軍隊と、マフディ軍。相手の武器は手作りの爆弾、迫撃砲など。

厳重に警備されている作戦基地の外側は、戦争の前線。作戦基地もロケット砲撃にさらされる。
前哨基地から展開する作戦のために、作戦基地を出る。
すべてに警戒しながら。

どこから爆弾が飛んでくるのか、どこから射撃されるか、どこに爆弾がひそんでいるのか。

800人のうち、14名が死に、1割ほどが負傷。

中佐は傷病兵を見回る。「君は英雄だ」「勇敢に闘った」と。そして勲章を渡す。家族に支援を約束する。「わたしたちは家族」だからと。

ブッシュは言う。「闘わなければ、勝利はない」と。

兵士は殺す。反乱軍を。終わりのない戦いを。
そして、兵士は負傷する。死ぬ。

家族が残される。

誇張も、戦争プロパガンダもない。それぞれの立場からの見方、もの言いが記録されていく。

「敗将K中佐」
中佐の見舞いを受けたくない兵士。
なじりたい家族。

しかし、ブッシュは言い続ける、一年の間。「対処しなければならない」と。

制圧できなかったことを、兵士たちは知っている。
■自衛隊家族による安保法制反対の運動はこちらから。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/334910
人を殺すということの結果や影響がどういうことか、想像力はないのかと、富山さんは問う。

■戦争における「人殺し」の心理学
http://ericweblog.exblog.jp/8747309/
Tangled Memoryという本は、米国が「ベトナム戦争の悪夢」を塗り替えるために湾岸戦争をスマートに演出したのだという。

しかし、どのように訓練し、心理規制をとっぱらい、発砲できるようにしたところで、そのことで死ぬのも兵隊なのだ。

兵隊こそが、もっとも平和を望んでいると、著者は言う。

著者が心配しているのは、ベトナム戦争で発砲率を高めるのに使われた同じ道具、脱感作、条件づけ、訓練の体系的プロセスという方法が、いまの米国社会全般に、暴力や人殺しについて、社会に蔓延する情報やメディアの中で、作用しているのではないかという。

■桃あかりさんからのコメント
恐ろしすぎるけれど、見つめるべき現実ですね。
帰還兵士達による反戦運動やその主張などをyoutubeで数年前、見ましたが、未だに米軍も米国も懲りていないどころか、民間にまで蔓延している⁉

本来の海外支援とは?
本来の派兵の目的とは?
について、
『職業は武装解除』瀬谷ルミ子 著
の英訳化➡米国で広く読まれることを、強く望みます。

当書籍と同じくらい、広く広く、共有されてほしい内容なので。
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by eric-blog | 2016-09-29 13:35 | ■週5プロジェクト16 | Comments(2)
Commented by 桃あかり at 2016-09-30 17:05 x
恐ろしすぎるけれど、見つめるべき現実ですね。
帰還兵士達による反戦運動やその主張などをyoutubeて数年前、見ましたが、未だに米軍も米国も懲りていない?どころか、民間に蔓延しているとは!

本来の海外支援とは?本来の派兵の目的とは?については、『職業は武装解除』瀬谷ルミ子 著 の英訳化➡米国で広く読まれること を強く望みます。
当書籍と同じくらい、広く広く、共有されてほしい内容なので。
Commented by 桃あかり at 2016-09-30 17:05 x
恐ろしすぎるけれど、見つめるべき現実ですね。
帰還兵士達による反戦運動やその主張などをyoutubeて数年前、見ましたが、未だに米軍も米国も懲りていない?どころか、民間に蔓延しているとは!

本来の海外支援とは?本来の派兵の目的とは?については、『職業は武装解除』瀬谷ルミ子 著 の英訳化➡米国で広く読まれること を強く望みます。
当書籍と同じくらい、広く広く、共有されてほしい内容なので。
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