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ボクの満州 漫画家たちの敗戦体験

ボクの満州 漫画家たちの敗戦体験
中国引き揚げ漫画家の会編、亜紀書房、1995
2582冊目

この本に収録、寄せられた絵をまとめたものがこちら。大型本です。
◎少年たちの記憶:中国からの引揚げ、中国引揚げ漫画家の会/編、ミナトレナトス、2002
原画展なども開かれたようです。

タイトルの「敗戦体験」からもわかるように、満州にいた日本人は、戦争に負けたことを痛感していた。昨日までとはうってかわった環境。中国人の歓び、迫り来るソ連、あてにならない日本軍。

いろいろな立場で満州にきていた親たちのもと、体験もさまざまだが、絵にするとどこか懐かしい気持ちが湧いてしまうものなのだなあ。ことさらにひどい状況を書いたものが少ないからなのか。

『原爆先生』の中でも、池田氏の父君のビデオメッセージの時に、原爆資料館を見た時の感想として「きれいすぎる」と言ったと。

わたしの父親も戦友会の会合に出かけては軍歌を歌っていたし。

子ども時代であり、青春時代であるあの頃へのノスタルジーは、生まれてしまうものだろう。それでも、語る言葉は「ふたたび起こしてはならない」と。

その強烈な体験に羨望を覚える若い人々もいるのではないかと、思ってしまうんだけどなあ。「糞のような平和」に息詰っている人達がいるのではないか。戦前の日本がそうだったように。経済の行き詰まり、外交関係の行き詰まり、関係性の行き詰まりなどなど。

いまの時代が戦前と違うのは、「高齢化社会」であるという点であろう。
昭和10年の国勢調査では、28才以下の各年齢層は100万人を越えており、その年誕生した子どもの数が200万人を越えていた。

約7000万人の人口に対して、20才以下が3000万人、28才以下が4200万人。

この若さが、爆発的な社会的変化につながったのではないかと思われる。教育も洗脳的であり、教練など、軍人の学校への配置もあったし。


一方現在は、団塊の世代が80才台を迎える2020年以降も、高齢化は続くというのだ。推計では。ふしぎだなあ。団塊の世代がいっきょに亡くなったら、多少は若返らないものかしら?

http://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/newest04/gh2401.pdf

上野千鶴子さんは高齢化社会の功罪を、メリットの面から論じている方だが、

http://www.chugainippoh.co.jp/interviews/hot/20140514-002.html
弱者には「支えてもらわないと生きていけない」というニーズがあります。そのニーズを満たすものがケア。それには費用がかかる。社会的にどう対応するのかが政策です。
文明社会である日本は栄養水準、衛生水準、医療水準、介護水準がいずれも高いので、介護期間が長期化する傾向にあります。超高齢化で死ぬに死ねない社会が到来し、いや応なく男も介護問題に直面せざるを得なくなっています。特に同性の親である父親の老いの無様さと惨めさをじっくり見て、それに付き合う経験を持ってほしい。

最首悟さんという方は、「弱い」自分を認められない立場で、「生の選別」という思想はずっとあるのだと語っている。いやなんだろうなあ、ぼける自分が。
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/327843

中国引き揚げ漫画家たちも高齢化している。

どこまで「当事者」として活動を続けることができるか。だね。

https://ja.wikipedia.org/wiki/引揚者一覧

それと、伝え方かなあ。

「懐かしい」という感想はやっぱりあるよね。

http://www.toyamav.net/~fc9/sPDF/82-10.pdf
by eric-blog | 2016-09-05 14:15 | □週5プロジェクト16
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