中東と日本の針路 「安保法制」がもたらすもの
長沢栄治、栗田禎子編、大月書店、2015
2552冊目
2016年7月1日、ダッカでレストランが襲撃され、あきらかに日本人もターゲットにされ、7人が殺害された。
2015年5月15日に「安全保障関連法案」が提出され、9月19日に成立した。
それに対して「『安保法案』に反対する中東研究者のアピール」を発表。この本はそこに賛同を寄せた124名の方々の寄稿集でもある。
資源確保、国民の幸福やくらしのためなら、海外での武力行使も辞さないというのは、エゴイスティックで帝国主義的な論理である。V
また、中東で大きな戦争が起きるたびに、それを理由に日本の安保政策が変更されてきたという事実。
湾岸戦争、イラク戦争などである。
中東の悲劇を極限にまで増幅させる戦争に、日本が本格的に荷担する可能性が現実味を帯びてきた。vi
日本にとって中東はまだまだ未知な場所なのだという。そこに関与するのには相当な情報、人脈、人材などが必要になる。その用意が日本にあるのかと、この本の識者ら声をそろえる。
Turning pointは越えたのか?それともまだ間に合うのか?
河の流れは戻せない。
次に、どう流れていくかを、慎重に考える必要がある。
そのためには、この本はとても重要だ。そして、次作を期待したい。状況はどんどん変わっていくのだから。