Making Questions Work: A Guide to How and What

Making Questions Work: A Guide to How and What to Ask for Facilitators, Consultants, Managers, Coaches, and Educators
Dorothy Strachan、2006
2546冊目

Process Designという本も出している著者による「質問力」を高めるための具体的な質問例がたくさん収録されている本。この本をテキストに、昨日、佐藤宏幸さんのワークショップが行われた。

まず、この本の構成である。
第一部がHow to ask questions「質問する」ことについて、その方法とスキル、そして、ファシリテーターの価値観が述べられている。
第2部は「プロセス」における質問が、段階を追って紹介されている。

「質問」は意図的に行うものであり、そのために「枠組み」「計画」があることが大切である。質問には「開かれた質問」と「閉じられた質問」があるがいずれも文脈次第で有効に活用できる。

一般的に質問の技術というものはあるが、大事なことは、その基本を「文脈に応じて」カスタマイズすることである。
一般的な技術としては「さらなるインプットをうながすような質問」や、参加者、発言者、聴衆が知らず知らずにもっている前提や仮説を「明確化する質問」が話し合いを円滑に、そして創造的に進行するために重要である。

また、デリケートな問題、争点のある問題については「白黒をつける」ような質問ではなく、より深い気づきや葛藤などを掘り下げ、気づくような質問によって、ていねいに扱うことが望ましい。

話し合いの場に対立はつきものであり、そこで発言することにはリスクや危険が伴うことを参加者は感じ取っている。その不安を認めた上で、どう向き合うかを質問に込める必要がある。

ファシリテーターは、客観的な観察者であり、そのスタンスをキープすること。

Whyを問うことは重要であるが、具体的な行動や成果、結果との関係で問うべきで、おおざっぱな聞き方は教条主義的な解答レベルに意識を戻してしまうので避けるべきである。

昨日の作業的学習の試みとしては、p.26からp.30ページに表でしめされている「こんな問い」「そのかわりに」「なぜか」という言い換え練習のような事例が20例近く紹介されているものを検討した。

そこから見えてきた「質問の仕方」の原則は
・ファシリテーターの判断をおしつけない。
・白黒つける質問はしない。
・課題に対しては「どうすればいいか」を問うこと。

という傾向が見て取れた。しかし、簡便に原則がまとめられたページはなかった。

替わりに、ファシリテーターがよって立つべき三つの原則が紹介されている。
・integrity
・authenticity
・mutual respects
著者は問題解決のプロセスこそがファシリテートされるべきものだという考えであるので、一つの項目は、その問題解決やプロジェクトに取り組む集団の規範として一貫性や統一性があるかどうかについての確認である。
・客観性を保つ
・秘密厳守の確認
・利害対立に対するセンシティビティ
・馴れ合いを避ける
・質問はフェアに
・出典を確認する
・パワーと情報の格差に心を配る

二つ目は、ファシリテーター自身が、自分に正直であるとか、うそがないことなど、集団に対して立ち位置が一貫していることがauthenticityと表現されている。
・成果に対するオーナーシップは誰にあるかを明確にする
・プロセスにおける自己欺瞞を最低限にする
・意図を明確にする
・問題があることを認める
・あなたの能力について正直である
・いま、ここに集中する
・あなたのクライアントの観点に耳を傾ける

そのような参加者とファシリテーターの関係をよくするのが「相互尊重」である。
・公平さを実現する
・グループの規範を明確にする
・交流の時間を尊重する
・直接的なやりとりを推奨する
・忍耐強く: 誰の沈黙であるのか
・グループのエネルギーを尊重する
これらの章の最後に「Operationalizing values」という項目がある。価値観を行動に表わすことの確認である。

フォローアップの質問にいくつかの原則が紹介されている。
・明確化の質問
・視点についての質問
・論理についての質問
・選択肢を確認する質問
・応用を考える質問

第2部はプロセスのどの段階でどの質問をすべきかということについて書かれている。

1. オープニングセッションでの質問
・互いを知り合う
・期待を明確にする
・貢献を引き出す
よくある課題

2. 行動を可能にする段階
・何を?
・だから?
・それで?
3. 分析的に考える段階
・前提、仮説、見通しを明示する
・利害とパワーの関係を理解する
・思考と行動の代替案を探る
・倫理的選択を行う

4. 問題に取り組む段階
・状況を理解する
・イシューは何か
・行動のオプションを作り出す
・行動のオプションを検証する
・意思決定する
・行動する
5. クロージングセッションの質問
・ふりかえり
・これからへ

ワークショップはプロセスであり、ある一つの通過点でしかない。
その通過点を経ることで集団の質に変化があらわれ、個人個人の力が発揮され、全体のパフォーマンスが上がる。
そんなワークショップを成立させるような「質問」のためのブックレットを作りたいなあ。

と、ここまで書いてきたのは、ほとんど目次から刺激を受けて、わたしが考えたことでした!

https://www.amazon.co.jp/Making-Questions-Work-Facilitators-Consultants/dp/0787987271

実際、ERICのワークショップで使っている「ファシリテーターの言葉」の方が、よりinvitingであり、より「みんなの頭で考える」ものになっていると感じました。

このテキストの方が、現実的なチームや集団に対して効果的だろうなと思えるのは、段階をおって整理されているからだと思います。

使いこなすのは大変だろうなあ。

でも、ここから刺激を受けて「問う心」をつけるファシリテーター養成講座の二日間プログラムができると思いました。

具体的なワークとしては、テキストを素材に次の三つを行いました。

◎Part1の第1章Remindersとしてまとめられた質問例の言い換え練習
◎Part1の第2章、ファシリテーターの価値観を理解する
◎Part2のクロージングセッションのふりかえりの質問の検討

おもしろかったです。

====目次====佐藤宏幸訳=
『効く質問: ファシリテーター、コンサルタント、管理職、コーチ、教育者のための「何をいつ質問するか」ガイド』

Making Questions Work  A Guide to What and How to Ask for Facilitators, Consultants, Managers, Coaches, and Educators
Dorothy Strachan
目次 Contents

謝辞 Acknowledgments
著者について The Author
序文 Preface
序章 Introduction
•用語について

パート1 質問のしかた Part One How to Ask Questions
1.効果のある質問 Questions That Work
•(フレームワークの)説明 Process Frameworks
•意図的な質問 Conscious Questioning
•質問をつくる Framing Questions
•準備された質問 Planned Questioning
•閉じた質問と開いた質問 Closed and Open Questions
•意図的な質問をするためのスキル Skills for Conscious Questioning
•カスタマイズする Customize for Context
•反応が返ってくる質問 Create Inviting Questions
•質問の前提を明確にする Clarify Assumptions
•繊細に尋ねる Ask with Sensitivity
•リスクや不安と共に Accommodate Risk and Anxiety
•参加者を観察するスタンスを維持する Maintain a Participant-Observer Stance
•「なぜ」を注意深く考える Consider “Why?” Carefully
•疑問が浮かんだ時は、確認する時 When in Doubt, Check It Out
•ファシリテーターの質問フレーズ(忘備録) Reminders

2.ファシリテーションの肝 Core Facilitation Values
•価値観を行動に Values Into Action
•健全さ/一貫性/ぶれない Integrity
•ガイドライン Guidelines for Asking Questions with Integrity
•目的からそれない Maintain Objectivity
•秘密厳守 Clarify Confidentiality
•利害関係に対して敏感 Be Sensitive to Conflicts of Interest
•馴れ合いにならないように Avoid Collusion
•公平に質問する Ask Questions Fairly
•情報の出所を明らかにする Determine Authorship
•力や情報のアンバランスに言及するAddress Imbalance in Power and Information
•健全さのチェック Operationalizing the Value of Integrity
•誠意 Authenticity
•ガイドライン Guidelines for Asking Questions with Authenticity
•成果へのグループ・オーナーシップを醸成する Build Group Ownership for Outcomes
•プロセスに対する自己欺瞞の最小化 Minimize Self-Deception About a Process
•意図を明確にする Be Clear About Intentions
•課題を歓迎する(課題に感謝する、課題に向き合う、解題を受け入れる)Acknowledge Problems
•自身の能力に素直でいる Be Honest About Your Competencies
•今ここに、関与する・集中する Be Present; Tune In
•参加者の見方・考え方を聞く Hear Your Client’s Perspective
•誠意のレベルを確認する Operationalizing the Value of Authenticity
•相互尊重 Mutual Respect
•ガイドライン Guidelines for Asking Questions with Mutual Respect
•公平に行う Enable Equity
•グループのルールを明確にする Clarify Group Norms
•意見交換の時間を確保する(聴くことで、聴いてもらえる、相互に聞き合う時間)Respect Exchange Times
•直接のやり取りを増やす Encourage Direct Interaction
•沈黙に耐える:誰のための静寂か? Be Patient; Whose Silence Is It?
•グループのちからを信じるRespect the Energy in the Group
•相互尊重チェック
•自身の価値観に沿ったファシリテーション Operationalizing the Value of Mutual Respect

3.フォローアップの質問 Follow-up Questions
•明確にする質問 Prompt For Clarification
•他の視点を問う質問Prompt For Perspectives
•合理性(確からしさ)を問う質問Prompt For Rationale
•他の選択肢を考える質問 Prompt For Options
•実施を具体的に検討する質問 Prompt For Implications

パート2 何をいつ問うか Par Two What To Ask When
4.開始の質問 Questions for Opening a Session
•(フレームワークの)説明 Process Framework
•ガイドライン Guidelines For Questions To open A Session
•質問バンク(リスト)Question Bank
•お互い知り合う Getting to Know One Another
Focus: Sharing Personal Information
Focus: Exploring Work Experience
•期待の明確にする Clarifying Expectations
Focus: Understanding Hopes and Concerns
Focus: Meeting Objectives and Outcomes
•コミットメントを形成する Building Commitment
Focus: Developing Group Norms
Focus: Building Ownership
•実践現場からの質問 Common Challenges
•時間が短い時 When Time Is Short
•課題型ワークショップのオープニング Opening a Workshop on a Specific Topic
•連続型のワークショップのオープニング Opening a Series of Workshops
•グループの緊張を緩める Loosing Up a Tight Group

5.行動を起こすための質問 Questions for Enabling Action
•(フレームワークの)説明 Process Framework
•ガイドライン Guidelines for Questions to Enable Action
•質問バンク(リスト)Question Bank
•観察の質問 “What?”: The Notice Questions (Observations)
•意味の質問 “So What?”: The Meaning Questions (Reflections)
Focus: Relevance and Fit
Focus: The Organization
Focus: The Individual

•実施の質問 “Now What?”: The Application Questions (Actions)
Focus: Personal Change
Focus: Organizational Change
Focus: Building Ownership
Focus: Operational Planning

•実践現場からの質問 Common Challenges
•ミーティング後の支援活動 Support Action After a Meeting of a Network or Coalition
•ふりかえりと行動のための構造的アプローチ Enabling a Structured Approach to Reflection and Action
•組織体制に影響する議論と意思決定 Discussing and Making Decisions That Affect Organizational Policies
•研究成果の利用(知識の解釈) Applying Research (Knowledge Translation)
•仕事場のストレス:個人の変革 Workplace Stress: Personal Change

6.クリティカル・シンキングのための質問 Questions for Thinking Critically
•(フレームワークの)説明 Process Framework
•ガイドライン Guidelines for Questions to Enable Critical Thinking
•質問バンク(リスト)Question Bank
•前提や思考を明白にする(共有する) Making Assumptions and Perspectives Explicit
Focus: The Individual
Focus: The Team or Organization
Focus: The Broader Context
•利益と力(既得権益)を理解する Understanding Interests and Power Relationships
Focus: The Individual
Focus: The Team or Organization
Focus: The Broader Context
•思考と行動の別の方法を考える Exploring Alternative Ways of Thinking and Acting
Focus: The Individual
Focus: The Team or Organization
Focus: The Broader Context
•倫理的な選択をする Ethical Choices
Focus: The Individual
Focus: The Team or Organization
Focus: The Broader Context
•実践現場からの質問 Common Challenges
•未来をクリティカル・シンキング Thinking Critically About the Future
•状況の厳しい国でやってみる Acting Ethically in Low-Resource Countries
•政治を変えるためのクリティカル・シンキング Thinking Critically About Policy Changes

7.課題を提示するための質問 Questions for Addressing Issues
•(フレームワークの)説明 process Framework
•ガイドライン Guidelines for Questions to Address Issues
•質問バンク(例)Question Bank
•状況を理解する Understanding the Situation
Focus: Internal Considerations
Focus: External Considerations
•課題を明確にする Clarifying the Issues
Focus: Issue Description
Focus: Why This Is an Issue
Focus: Stakeholders
•行動のための選択肢を考える Generating Options for Action
Focus: A Positive Future
Focus: Solutions
Focus: Learning from Others
•選択肢を試す Testing Options for Action
Focus: Rationale
Focus: Potential Impact
Focus: Strategic Fit
•選択する(決定する)Making a Decision
•行動する Taking Action
•実践現場からの質問 Common Challenges
•率直さと秘密性 Encouraging Candor and Confidentiality
•微妙な課題をテーブルに上げる Putting Sensitive Issues on the Table
•NGOでの課題管理 Issues Management in a Nongovernmental Organization
•課題中心型計画:追加プログラム Issues-Based Planning: A Redundancy Program

8.収束の質問 Questions for Closing a session
•(フレームワークの)説明 Process Framework
•ガイドライン Guidelines for Questions to Close a Session
•質問バンク(リスト)Question Bank
•過去 Looking Backward
Focus: Midway through a Process
Focus: The experience as a Whole
Focus: Learning
Focus: Productivity
Focus: Management of the Process
•未来 Looking Forward
Focus: Celebrating Success
Focus: Building Ownership for Follow-Though
Focus: Taking Action – Knowledge Translation
Focus: Future Collaboration
•実践現場からの質問 Common Challenges
•複数のプロジェクトをカオス状態へ Bringing a Multisite Project to a Close
•官庁の課題型ワークショップをやめる Closing a National, Issues-Based Workshop
•少人数の出口インタビュー Conducting Exit Interviews in Small Groups
•ワークショップのふりかえり Reviewing a Pilot Workshop

終章 In Closing: About Questions – What I Know for Sure
参考文献 Reference
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by eric-blog | 2016-07-25 11:02 | □週5プロジェクト16 | Comments(0)
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