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外国人研修生 時給300円の労働者2 使い捨てをゆるさない社会へ

外国人研修生 時給300円の労働者2 使い捨てをゆるさない社会へ
外国人研修生権利ネットワーク、明石書店、2009
2479冊目

「蟹工船」はここにある。

表紙の見返しに大文字がささる。

米国の行政府からも「人権侵害」を指摘されてしまう日本の研修生制度。
なぜ、こんなにも歪んでしまうのか。そこにいまの格差社会の根っこがあったことに、気づく。

いまだに解決されていない証拠がこれだ。

2016/04/02 移住連シンポジウム 2016.4.2 「今一度考え直そう外国人技能実習制度」(動画)
http://iwj.co.jp/wj/open/archives/294302

研修生の中国側送り出し機関も、日本側受け入れも、なんらかの団体や会社組織、企業となっていて、ひょっとすると手数料、渡航費までも二重取りしている有様。

さまざまな労働法違反のルールで縛り上げ、あげくに「ルール違反」をたてに強制帰国させる。ブローカーである彼らにしてみれば、次から次へと希望者を募って手数料を稼ぐ方が割がいいからか。

1993年に創設された技能実習制度。研修生を受け入れてきたものを、「労働者」という扱いで制度化したもの。この本が出されたのは制度開始から15年。その実態に迫った。

日本の受け入れは、団体監理型受け入れと企業単独型受け入れ。団体監理には商工会議所・商工会、事業協同組合、公益法人など。

高度経済成長時代、バブル期の人手不足と3K職場回避から、デフレ時代になって、下請けに対する締め付けが厳しく、コスト削減にふりまわされ、人件費を抑えざるを得ない中小企業のニーズに答える形で、制度は緩和され続けてきた。

どれほどひどい実態があるか。蟹工船、奴隷労働と言われても仕方がない現実。

1. 技能実習という名のもとで、単純労働
2. 時間外労働の強制、賃金の未払い
3. 送り出し機関による来日前の「保証金」契約や脅迫
4. 他企業への転職が認められない
5. 管理と拘束
 ・パスポートの取り上げ
・「積立金」と通牒・印鑑の取り上げ
・生活上の制約、携帯電話の所持禁止、電話使用禁止、外泊禁止、遠出禁止
6. 強制帰国
7. 名義貸し(飛ばし)

移住連シンポジウムでは「誓約」の実例をあげているが、上記のような項目がずらずら並んでいる。

国あげて

2016年4月6日 衆議院法務委員会で質疑。
昨年19万人が技能研修生として在留。
「外国人の受け入れはそれぞれの国が決めていい。」
http://www.shugiintv.go.jp/jp/index.php
後からでもビデオライブラリーで視聴できます。
はああああ?

外国人労働者の受け入れ家族に沿うて作られた「観察映画」。
http://www.kaki-kouba.com

アジアとともによくなろうという発想がなければ、未来はないなあ。
ほんとに、自己中心的な制度運用がなぜここまで幅を効かせる事が可能なのだろうか?

根っこを問う。見つめる。

いま、移住連では、「移民問題」に対する根本的な議論をすべしと提言する。

この本の編集段階では、改善策=次善策として
1. 一元的に対応する政府機関を設置
2. 法律の制定
3. 外交的努力
4. 抜き打ち調査や実態把握
5. 権利告知措置
6. 倒産などによる研修継続が困難になった場合、移動先の確保、未払い賃金の確保、強制貯金の返還など権利保護の徹底

というのだが、はああああ、また、出先機関が増えるのかとしか思えない。

何か根本的なことが必要なのだと思うのだ。労働者でいいじゃないか? 牡蠣工場みたいに。変な技能実習生制度などではなく、外国人労働者問題にすべし!
by eric-blog | 2016-04-06 10:03 | □週5プロジェクト16
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