科学者は戦争で何をしたか
益川敏英、集英社新書、2015
2465冊
200年後、戦争はなくなっていると、益川さんは希望を語る。
人類は戦争を放棄する方向へ進化すると。
第二次世界大戦、米国で原子爆弾が国策として推進された。科学者はいとも簡単に戦争に動員され、そして政策決定からは排除され、声は政治に届かない。
戦後、核廃絶、反戦を訴える科学者の動きが生まれた。
しかし、いま、研究の現場は「選択と集中」という投資的な資金の動きによって、翻弄されている。
「科学者さえ、研究の全貌が見えない」という。77
では、選択的に資金が投下される科学はどうなるのか?
「潤沢な資金が腐敗を生む」
そして、軍需産業は戦争の危機を煽っている。
民生にも使えるならいいじゃないかという正当化。
名古屋大学の平和憲章
http://sc.coop.nagoya-u.ac.jp/media/9906/kensyo.pdf
http://www.geocities.jp/heiwakensyou2006/
そして、益川さんは言う。
原子力はあらゆる問題の縮図なのだと。149
「平和利用」と「軍事利用」という裏表。
原発事故は、安全面をないがしろにし、商業主義に走った政官財産の癒着構造がひきおこした人災! 157
しかし、研究者として、益川さんは、原子力研究は続けなければならないと主張します。安全な廃炉のためにも優秀な人材と資金の投入が必要だと。163
長い目で見ると、戦争をしない時代へ。
テロという消耗戦、力でねじ伏せる時代は終わった。174
不満を埋める装置を創ること。
貧しい国においても子どもたちの生きる権利、教育の権利を確保できるような装置。
法による統治を前提としない国は少なくなっている。175
危機感を持ちつつ、希望を語る。そして、どんどん発言する。二足のわらじもはけないような奴は、ものにならん。