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リアル・デモクラシー ポスト「日本型利益政治」の構想

リアル・デモクラシー ポスト「日本型利益政治」の構想
宮本太郎、山口二郎編、岩波書店、2016
2461冊目

55年体制が揺らぎだしたのは1989年の参議院選挙。
消費税導入やリクルート事件への怒りが自民党大敗を招き、土井たか子率いる社会党の躍進。
民主主義的潜在能力の顕在化(篠原一)、女性の反乱、農民の反乱。農民の反乱は農協や地域共同体から解放されたこと。

自立した個人を単位とする政治参加も出る。

90年代、NPO法、男女共同参画の推進など市民社会を強化する法制度整備。

政治行動に関して、上意下達が通じなくなった。建設業界、農協、労組、医師会で。

セーフティネットの崩壊。
ポビュリスと型指導者の跳梁跋扈。

団体政治とは、「中間団体の機能」を果たしていた。

集団に所属し、社会的活動をしている人は、自らの活動に影響を与える政策を通して政治家を評価し、冷製に政治を見ることができる。

自由な個人の行動と団体の運動のバランスは、民主政治における永遠の課題である。

21015年の日本、新しいタイプのアソシエーションが生まれた。
しかし、そこには団体を背景にした平和団体などの運動団体が社会運動のインフラストラクチャーを提供していた。

では、既得権に固執しない団体政治の再生はあるのか?

と山口さんはあとがきにいう。

そして、それに呼応するように、序章で宮本太郎さんは民主主義深化の四つの方向を示している。

関与拡大、範囲拡大、条件拡大、現実化

参加型民主主義  住民投票、審議会、行政委員会への参加、委託事業
参加による政治的影響力の範囲の拡大
参加のための社会的条件の整備、討議型民主主義のような

ポスト「利益政治」の新しい社会集団の政治。

発言力と生活保障の確保

「社会集団がとくに地域でより開かれた能動的な役割を発揮することで、社会的平等と地域の経済競争力の新しい結合を実現していくべき。(コーエン、ロジャーズ)

「日本に引きつけて言えば、これまで男性稼ぎ主の雇用を分配する受け皿となってきた建設業団体や農協などの業界団体、さらには労働組合などが、老若男女の雇用を作り支え、あるいは就労困難者の中間的就労の場を提供するなどの、新しい役割を引き受けていく必要がある。」32

そして「新しい社会的リスク」への対処に関わるNPOや社会的企業をいかに地域の制度に組み込んでいくか。」

めちゃくちゃおもしろい本である。へぇー、はあ、そうなんだ、という社会のうごきの裏側、背景が見えるし。


第五章の「政治過程の変容とNPOの政策提言活動」は坪豪實さん。


340ページという大部ながら3100円という低価格! これは勉強会を開かなければ?
by eric-blog | 2016-03-17 08:31 | ■週5プロジェクト15
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