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戦う民意

戦う民意
翁長雄志、角川書店、2015
2450冊目

いま、衆議院内閣委員会で沖縄選出の宮崎政久さんが「1月24日の宜野湾市長選挙で、わたしは沖縄の民意が変わったと受けとめている」と質問。内容は普天間基地の負担軽減のための「普天間飛行場負担軽減推進会議」がここ二年間開かれていない、年度内に開催して欲しいという要望であった。

沖縄の民意は変わったのか?

昨晩、ちょうどこの本を読んだところだった。

保守と革新という壁を越えた「All沖縄」という表現は、それに対する否やをいいにくい雰囲気をつくりだしていた。それに対して市長選挙の結果で、「反対を言っていいんだ」という気持ちになれたと、宮崎委員は言う。

翁長知事は、保守の政治家の家に生まれ、保守と革新の対立をずっと観てきたという。

イデオロギーではなく、アイデンティティによってのみ、all沖縄は可能なのだという信念のもとに、沖縄の基地問題に取り組む姿勢を示している。

それはとりもなおさず、日米同盟のあり方、民主主義のあり方、日本のあり方が問われているのだと。74

「日米地域要諦の厚い壁にいつもぶつかっている沖縄からすれば、私たちの民主主義が踏みつぶされていく状況がよく見えます」75

そして、いま沖縄に投げつけられる「いつまで戦争の話をしいるんだよ」という言葉は、そのまま、日本の地方に投げつけられる言葉だと著者は指摘します。

「体験に根ざしていない人の記憶は風化していきます。
 大戦時に多数の沖縄県民の命が奪われ、戦後は沖縄が米軍の支配下に置かれたことを知る本土の人たちは、しばらくは、「沖縄県民には悪いことをした。申し訳なかった」という思いを抱いていたと思います。しかし、それも10年、20年経つと、次第にほころんできます。
・・・1990年代、・・・不発弾処理の予算折衝のため、防衛省を訪ねたことがありました。まだ30代の係長か課長が言った言葉を私は忘れることができません。「いつまで戦争の話ばかりするんだ。東京だって、大阪だって、大空襲はあったんだ。沖縄だけじゃないんだよ。」92

「いつまで原発事故の話をするんだ!」と、まともに応じてもらえなくなる様子が目に浮かびます。

覚の廃棄物問題も含めて、将来は同じようなことがきっと起きると思います。93

日常から非日常に変わるのは一瞬です。

辺野古基地に「勝者」はいない。

きっと、埋め立ては止められる。30ヘクタール、50ヘクタールは埋め立てられてしまうかもしれないが、161ヘクタールは無理だろう。

しかし、それで沖縄が勝ったことにはならない。101

工事期間が10年以上あるということは、まさしく普天間基地は固定化される。

仲井眞知事の「普天間基地の五年以内の運用停止」は空手形。101

翁長知事が那覇市長になった時、最初に直面した課題がゴミ処分場問題。那覇市民は南風原町に処分場があることすら知らなかった。ゴミ削減にも取り組み、経費削減に成功。移転も果たす。
市民と行政の協力、そのために行政への信頼がこれからの問題解決の鍵だと。
103

米国は海外40カ国に基地をおいていますが、兵力が1万人以上の国は、日本、勧告、ドイツ、イタリアの四カ国。 108

【参考】
イタリア人の監督2人が作った『誰も知らない基地のこと』では、米国の独立戦争のきっかけは、英国がStanding Army駐留軍を恒久的に置こうとしたことに対する反発からだったと。駐留軍とは支配だからだ。

http://kichimondai.com/

http://ericweblog.exblog.jp/15421154/

日米安全保障条約に賛成するにしても、戦後70年間、沖縄にこれほど過重な負担をおしつけてきた体制をそのまま21世紀にも続けることはできない。109

・沖縄は地政学的に有利とは言えない むしろ対中国的にリスク
・基地は抑止力にならない
・基地は沖縄でなくていい
・日本政府の米軍慰留
・アメリカは中国と戦わない
・辺野古に構想される恒久基地
・普天間基地所属ヘリは米軍住宅エリアだけは上空を飛ばない
・深刻な基地の環境汚染
・基地は経済面でも迷惑施設

保守系でありながら、共闘の道を探り、稲嶺前知事誕生の背景で動いた居た彼を、政府批判に向かわせた出来事。

2006年の「ロードマップ」から「15年使用期限」が消された。
2007年の教科書検定。沖縄の集団自決が強制されたものだったという文言の削除。

2013年11月、沖縄選出の自民党国会議員5人が容認に転じる。
その時、うなだれていた議員たちの姿は、「第二の琉球処分」だと沖縄の人々の目には映った。
http://ryukyushimpo.jp/news/prentry-215810.html

国場幸之助(沖縄1区)、比嘉奈津美(同3区)
宮崎政久(比例九州)

そして、2014年の知事選。
by eric-blog | 2016-02-26 12:45 | ■週5プロジェクト15
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